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さん






ナオさんとベジットさんの恋を応援しようと決めてからというものの、私は頻繁にナオさんの元へ訪れるようになった。
2人をくっつけようにも、まずはナオさんの人となりをしっかり理解した上で作戦を練らないと意味がないしね。

私が恋のキューピットとか…!初体験すぎて武者震いしそう…!


「ねぇナオさん、ナオさんは好きな食べ物とかないの?」

「そうね…。苺のショートケーキとか、かな。苺が好きだから、最後までとっちゃうの」

「わかるー。私も苺を最後まで置いとく派なんだけど、食べるのもったいぶってたら知らないうちに悟飯に取られちゃうんだよね」

「そうなんだ…」


あれ、なんかナオさんつまんなさそう…?共通の話題が出たからここぞとばかりに出張ってみたけど…ちょっと露骨すぎたかな。
こういう情報収集って如何に相手に怪しまれずに遂行するかが鍵って言うじゃん?

それともあれかな…自分はさり気なくしているつもりでも、他人からしたら露骨で引かれるってやつ。


「(難しいなぁ…)」

「あ、ベジットだ!」

「よ!元気にしてるか?」

「うん!」


悶々と私が考え込んでいるうちに、ベジットさんがやって来たらしい。
ナオさんは打って変わって、お日様みたいな笑みを浮かべてベジットさんの元へ駆けて行った。
うんうん、恋する女の子は可愛いなぁ。

話し込みだした2人の邪魔にならないよう、邪魔者はさっさと退散しましょうかね。


「あ、じゃあ私はもう行くね。またね、ナオさん」

「!う、うん、また…」


あ、またあのぎこちない笑みだ。
うーん、やっぱり私が嫌われてんのかな。けどせっかくだしどうにかあと2人をくっ付けたいんだよね。

どうしたものやら。





* * *



最悪。

なぜだか知らないけど、最近シュエが頻繁にカプセルコーポに来るようになった。それも必ずと言っていいほど私のところにやって来ては、やれ得意な事とか好きな物とかを聞いてくる。
正直鬱陶しいったらありゃしない。あんたなんかに構う暇なんてないのに、これ以上私の貴重な時間を潰さないで!


「ねぇナオさん、ナオさんは好きな食べ物とかないの?」

「そうね…。苺のショートケーキとか、かな。苺が好きだから、最後までとっちゃうの」

「わかるー。私も苺を最後まで置いとく派なんだけど、食べるのもったいぶってたら知らないうちに悟飯に取られちゃうんだよね」

「そうなんだ…」


何よ、僻み?ベジットがあんたのところに来てくれないからって、悟飯をダシに使うなんてとんだ性悪女ね。こんなのが姉だなんて悟飯も可哀想。早く解放してあげなきゃ。
私の事を色々探っているみたいだけど、そんなのに引っかかるほど私もお人好しじゃないのよ。

ふん、とさり気なくそっぽを向いたら、そこに瞬間移動をして来たらしいベジットが現れて自然の私の頬が緩むのに気付いた。


「あ、ベジットだ!」


女の子らしく、可愛く見えるようベジットの元へ駆け寄る。目の前まで来たら、彼はキリッとした凛々しい眉を下げてぽんぽん、と私の頭をなでてくれた。

き、きゃー…!!頭ぽんぽんされちゃった!


「よ!元気にしてるか?」

「うん!」

「そっか。ゴジータがお前に会いたがってたぞ」

「本当?嬉しいなぁ」


今日は厄日かと思ってたけど、それはとんだ間違いだったのね。だってこんなに素敵な日なんだもの!


「あ、じゃあ私はもう行くね。またね、ナオさん」

「!う、うん、また…」


わざとらしくならないよう、少し怯えを見せながらシュエを見送る。その時にベジットの服を小さく握るのを忘れない。

完全にシュエがいなくなった頃、ベジットが心配そうに私の顔を覗き込んできた。


「どうかしたのか?やけにシュエを見て怯えてるようだけど…」

「……うん、実はね」


期間限定だとしても、今この世界での逆ハー主は私。だから、私の世界を守るためにも先手を打とうと決めたのだ。






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