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時間が経てば経つほど、ブロリーさんの戦闘技術がぐんと成長していく。
超サイヤ人から超サイヤ人ゴッドに変わったベジータさんとブロリーさんの戦いは、殴り飛ばされたブロリーさんが遠くの氷山に埋もれたことでひとまず落ち着いたのだった。


「これで終わりですか?」

「は、はい…」

「仕方ありませんね。今日のところは引き上げましょう」


フリーザとパラガスさんの会話が聞こえる。よかった、地球の存続を賭けた戦いにならなくて。
ほっと安堵の息を吐き出す。…だが、なんだか様子がおかしい。


「ブロリー!今日はここまでだ!戻ってこい!」


パラガスさんの呼び掛けにブロリーさんが反応しない。思わずお父さんのいるところまで飛んでいくと、ブロリーさんを中心に彼の気に当てられて氷山が溶けだしていた。

…なーんか、すこぶる嫌な予感がするんだけど…

徐々に高まるブロリーさんの気。今の彼は少しでも触れれば爆発する核爆弾みたいになっている。刺激はできるだけしない方がいいのだけれど、そういう時に限って空気を読まないのがベジータさんなのだ。


「や、やめろベジータ!!」


お父さんの静止も虚しく放たれるエネルギー波。恐らく海に沈んだブロリーさんだが、途端に馬鹿みたいに跳ね上がる気の量に腰を抜かしそうになった。

渦巻く海の中から飛沫とともに現れたブロリーさん。吹き荒れる風。超サイヤ人にもなっていないはずなのに、超サイヤ人ゴッドをも圧倒するあの人は本当にサイヤ人なのだろうか。


「おい、仙豆持ってきてるか!?カカロット!!」

「持ってきてねぇ!!」

「シュエは!?」

「わ、私も持ってない!!」

「クソッ…!これは遊んでる場合じゃないな…!」


平和的解決が夢と散った今、私たちは今からあのブロリーさんを仙豆なしで止めなければならない。じゃないと、あの完全に我を失ってる感じのブロリーさんに地球を破壊されてしまう。


「う、うぅ……!はあぁあああああああ!!!!」

「ぎゃぁあああああ!!!」


ブロリーさんの口から吐き出されたエネルギー派を顔面スレスレで避けた私。今マジで命の危機だった…!!あとコンマ2秒遅かったら確実に死んでた私!!

恐る恐る背後に目をやると、くそでかかったはずの氷山が半円の形を残して消えていた。

こっわぁぁあああああ!!!


「げげッ…!あんなのが地面に当たってたら…!」


確実に地球はさよならバイバイしてただろうよ!
再びベジータさんはブロリーさんに仕掛ける。…が、先程と違ってベジータさんの攻撃はブロリーさんに聞いていないようだった。


「ベジータ!!」


向こうへ飛んで行ったベジータさんとブロリーさんを追いかけるようにお父さんが翔ける。慌てて私も追いかけると、地面に膝を付き荒い呼吸をするベジータさんの近くにウィンドブレーカーを脱ぎ捨てたお父さんが氷山に立つブロリーさんを見上げていた。


「そろそろオラとやろうぜ」

「ぐぅ…!」


ブロリーさんは完全にお父さんにターゲットを変えたらしい。それを見計らって私はベジータさんの隣に降り立った。


「だ、大丈夫…!?」

「くッ…貴様に心配されるほど弱くないわ!」

「だろうね!安心した!」


なんにせよ、ここはいったん離れた方がいいよ。私の提案に渋々頷くベジータさんは超サイヤ人ゴッドを解き、存外しっかりとした足取りで立ち上がった。


「何をやってる。さっさと行くぞ」

「…おう」


背後で打撃音が響く。
ついに始まったお父さんVSブロリーさんの戦いを横目に、私は先を飛ぶベジータさんの背中を追いかけた。

…昔は誰かに戦いを任せるのが嫌だったはずなのに、今ではすっかり引け腰になってる。それは私が歳をとったからなのか、それとも平和ボケして戦う意思がすっかりなくなったのか。


「……多分、両方なんだろうな」






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