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ビルス様のお叱りを受け、渋々休憩タイムに入ったらしいお父さんとベジータさん。お父さんと言えば、ブルマさんが用意してくれたテーブルに並ぶ大量のスイーツを吸い込むように口に放り込んでいた。

…見てるこっちが気持ち悪くなってきた。


「…ところで悟空さん」

「むぐ、むごぐぐごが」

「おうふ…」

「なぜこれ以上の強さを求めるのですか?もしかして、破壊神の座を狙っているのでは?」

「んッ!?」

「なんだと?それは聞き捨てならんな」

「ち、違うよー!なりたかねぇって、そんなの!」

「…そんなので悪かったな」

「お父さん…」


素直なのがお父さんの長所でもあるんだけど、些か素直すぎるのがたまに傷ってところだろうか。
なんか私を睨みつけてくるビルス様に愛想笑いだけ返しておいた。


「…でも、それは私も気になるかも。なんで?」

「んー…この前の全宇宙の大会でさ、ほかの宇宙にはまだとんでもねぇ奴がいるってわかったから。…オラ燃えてんー…………だッ!!」


そう言って気合いを入れるように超サイヤ人になったお父さんの目は爛々と光っている。あーあ、これが俗に言う戦闘民族の性ってやつだろうか。


「貴様の目はすでに他の宇宙に向いているってことか。相変わらずおめでたい野郎だ」

「へへ」


いや、褒めてないよお父さん。吐き捨てられただけだからね。


「では、ベジータさんはなぜこれ以上の強さを求めるのですか?」

「フリーザだッ!!」


間髪入れずにベジータさんはお父さんを指さした。


「ここにいるバカヤローが!よりによってあんな悪魔を復活させやがったんだからな!!」

「あー……」


非常に心当たりのある案件。私はそっと目を逸らした。


「なんだよ!フリーザがいなかったら、オラたちの第7宇宙はなくなっちまったかもしれねぇだろ!」

「あら、そうなの?」

「うぇ…!?な、なんで私に聞くの、ブルマさん…」


大体、私自身もなんとなくの経由しか聞いてないしなぁ。ベジータさんの言い分も果てしなくわかるけど、お父さんの言うことも一理あるんだなぁ、これが。

難しい話である。
フリーザが生き返らせてくれた恩を感じるかどうかは別として。


「おめぇ、何回馬鹿って言うんだ!」

「何度でも言ってやる!!ぶぅわぁあああかぁぁああああああ!!!!!」

「子供かよ」


存外ベジータさんとお父さんは相性がいいのかもしれないと思った今日この頃。


『あ、ママ?』


未だ仲良く喧嘩しているおっさんたちを白けた目で眺めていると、唐突にトランクスくんの声が響いてきた。
どうやらブルマさんの通信端末からのようで、内容はカプセルコーポレーションのブルマさんのラボに泥棒が入ったとのこと。

後ろから端末を覗き込むと、ちょうど同じように端末を覗き込んでいたらしい悟天の顔が映った。


『あ!ねーちゃんだ!』

「やぁ悟天。今日はトランクスくんと遊んでたの?」

『うん!ねーちゃんはお父さんと一緒?』

「そうだよー。大のおっさんたちが子供みたいな喧嘩してらぁ」

「だぁれが子供だ小娘!!」

「びゃぁあああああ!!!」


突然両頬が左右にびよん、と伸びた。くそ痛い。この視界の端っこに見える白い手袋はベジータさんだな!!


「ひはいひはい!へひーははんひはい!!」

「貴様は言葉も話せなくなったのか。可哀想に」

「きーーー!!!」


じたじたと暴れてみるものの一向に手を離される気配がない。やべーぜ、そろそらほっぺの感覚がなくなってきたんだけど!!


『あー!!ベジータのおじさん!ねーちゃんをいじめるなー!!』

「いじめてない。教育的指導だ」

『きょーいくてき…し…?』


そこで考え込まないで悟天!!


『あ、えと…さっき監視カメラの映像見たんだけど…盗まれたのはママが集めたドラゴンボールとドラゴンレーダーみたいだ、よ…?』

「はぁぉああああ!?」

『『ひょッ…!』』

「だから言っただろ。お前はセキュリティーが甘いんだ」

「ひはひっへ!!」

『あ、あのねママ!盗んだ犯人なんだけど!パパみたいな服を着てたよ!』

「「「あー!!」」」


次に叫んだのはこちら側にいる(私以外の)3人であった。てか、ウイスさんでもビルス様でもいいから助けてほしいんだけど。
視線を投げかけるも双方に無視されてそろそろ本気で心が折れそうなシュエちゃんであった。

そうしていつの間にやら通信が切れていて、私の頭上で井戸端会議が始まった。


「犯人はフリーザ軍だな。俺たちに気付かれないようにわざと戦闘力の低い連中を使ったんだ」

「フリーザのやつ、しつこくドラゴンボールを狙ってたんだ…。そろそろ離してやんなさいよ」

「こいつの生意気な口はこうでもしないと大人しくならんからな」

「う…うぅ…」

「おいベジータ、シュエ泣かすなよー。おーよしよし、痛かったなぁ」

「痛かったけど…!もうちょっと早く助けてくれてもよくない!?」


そして頭ポンポンしてあやすな!騙されないからな!お父さんはそうやってあざとく誤魔化してくるんだから!そーいうとこほんっと悟飯にそっくり!!
ひりひり痛むほっぺを擦りながらお父さんを睨めつけた。


「…というより、フリーザは今更なんの願いがあるってのさ。ゴールデンフリーザにもなれて、生き返らせてももらって。贅沢かよ」

「まぁ、確かにそうだよな。神龍の力を超える願いは出来ねぇから…」

「決まってる!あいつの願いは死なないことだ!」

「それでも、死ななくても負けたら意味ねぇだろ?」

「う…そ、それでもあいつは、いつか俺たちを超える可能性がある!」

「そーかぁ?」

「ぐぬぬ…!!」

「おぉ…言葉に詰まるベジータさん初めて見た」

「…シュエちゃん、そーいうところよ。ベジータにドヤされてるの」


なんかブルマさんに呆れられた目で見られてるんだけど、私なんか言った?






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