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※下ネタやそれっぽい表現があるよ!
シャモ星のみんなと一旦別れた私たちはお父さんも一緒に宮殿へ向かっていた。そろそろ夕飯の時間だし、お父さんがお腹減ったってうるさいんだもん。
「そういば、お父さんはどうしてここへ?」
「てゆーか面接はどうしたの」
「いやぁ…ははッ。界王様に来てくれって言われてよ、すっぽかして来ちまった!」
「「……」」
なんだろう、この、怒りたくても怒れない現状。あ、わかった。呆れてるんだきっと。あまりにもお父さんがマイペースすぎてもういいやってなってるんだよ。あーぁ。
…家帰ったらお父さんシバかれるよ、お母さんに。
私は心の中で合掌した。
「…界王様ってことは、やっぱり伝説の超サイヤ人についてか?」
「まぁ、そんなとこだな。南の銀河に残っていたそいつの気を辿ってたらここについたってわけだ」
「へぇ…あ、あれだよ」
すたん、と宮殿に降り立った私たちはあらかじめパラガスさんに言われてた部屋へ向かう。あの人私たちに食事まで用意してくれるんだよ。いい人過ぎるでしょ。もうほんと、至り尽くせりって感じで申し訳ないんだけど、じっちゃんやウーロンさんがいただきますもそこそこにがっつき出したから私はもう何も言わない。少しは遠慮したらいいのに。
「おねーひゃん、はれはいほ?」
「お前もか」
「ごっくんッ。おいしいよほら!あーん」
「自分で食べれるんだけどね」
「そんなこと言わずに、はい!」
フォークに巻いたスパゲティを早く食べろと言わんばかりのきらびやかな笑顔に私は負けた。うん、相手は悟飯だもの。可愛いくてあざとい悟飯だもの。
ぱくん、とスパゲティをもちゃもちゃ頬張ってると次はソーセージが差し出された。ちょ、私まだ食ってんだけど。
「はいお姉ちゃん!」
「…待って、ペース早くない?」
「そんなことないよ。ほら、あーんして」
「待て悟飯お前それはふぐぅッ」
クリリンさんがテーブルに突っ伏して悶絶した。え、なに、何があったの。
彼の隣に座るトランクスさんがめっちゃ痛そうに顔を歪めた。仕方なしに私はソーセージに齧り付いたのだった。
「あぁ…シュエ、が…」
「悟飯さんの毒牙に…」
なんか約2名ほど嘆いてるんだけど。まぁいいや、ソーセージおいしいし。
「お姉ちゃん、おいしい?」
「うん、ほいひいほ」
ソーセージをくわえたままもごもごしてると突然悟飯がガタリッと立ち上がり、私の肩を掴んだ。ビックリしてソーセージが落ちた。
なんか、その場にいた全員の視線が集まってあれなんだけど、とりあえず悟飯くんや。
「え、なに。どったの」
「……えへ」
「え」
「お姉ちゃん、ちょっとあっち行こうか」
「待ってねぇ待って私なんか今すっごく危機感を感じるんだけ、おわぁッ!」
「大丈夫、痛いのは最初だけだから」
「ぎゃあああああああ!!く、クリリンさん助けて超助けて!!」
悟飯の肩に担がれる私からそっと視線がそらされた。は、薄情者…!
「お、お父さ…」
「ん?シュエと悟飯は風呂か?ちゃんと肩までつかるんだぞ!」
あぁ、一瞬でも期待した私がバカだった…お父さんはこういう人だ。もうほんとピッコロさん助けてぇぇええ…!!なんだかんだ言いつつちゃんと助けてくれるベジータさん早く帰ってきて…。
悟飯に部屋のベッドに組み敷かれ貞操の危機を悟った瞬間、なんか血相を変えたベジータさんが救出してくれました。ベジータさんこそ真の勇者だと私は信じる。
「ぐず、ぐず…べじーだざッ…」
「泣くな、鬱陶しい」
「お、帯抜かれた瞬間、も、ダメかと思っだぁあああああ…!」
「………そうか」
「弟に貞操狙われるって…ッ、なにッ!?」
「……………」
ぽんぽんと無言で頭をなでてくれました。
とりあえず背中に突き刺さる悟飯の視線が痛いです。
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