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びゅん、と空を駆けぬける。宮殿から見えた街はどうやら廃墟だったみたいで、あちこちに崩れた建物や何かの部品が散らばっていた。
廃墟が立ち並ぶその向こうにはいくつかの大きな穴があいていて、その中からたくさんの宇宙人が出入りしていた。


「あれはなんだろう…」

「地中からエネルギーを引き上げているんだ、きっと」

「だから宮殿の周りにだけ緑があるんですね…」

「廃墟に重労働ねぇ…まるで奴隷みたいじゃない。むかつく」


すとん、ととある穴に降り立つと、ちょうど目の前で小さな子供がおじいちゃんの宇宙人の背中を労わるようにさすっていた。体調が悪いんだろうか…
彼らは私たちに気づくと、サッと顔を青くさせた。


「お、俺たちサボってなんかないぞ!じいちゃんの具合がよくなくて…」

「大丈夫だよ、僕たちは見張りでもなんでもないからね」

「え?」

「そーいうこと。おじいさん、大丈夫?」

「おぉ、娘さんや、すまんなぁ」


鞄から水筒を取り出し、おじいさんに水を入れてあげると目を垂れさせてゆっくりと飲み干した。このおじいさんもこの子も、随分傷だらけだ。まるで、鞭か何かで打たれたような…


「こんなところに街を作るなんて無理ですよ」

「…そんなもの知るか。俺たちはいきなり現れたサイヤ人にシャモ星から無理矢理ここへ連れてこられたんだ。食べ物もろくにくれないんだぜ、サイヤ人って。宇宙の悪魔さ」


重そうな金属片を引っ張りながらこの子は言った。宇宙の悪魔、か。そのサイヤ人はよっぽどの非道だったのか、吐き捨てたこの子の瞳は恐怖で少し揺れていた。
まぁ、かくいう私たちも一応サイヤ人なんだけどね。

不意に、崖から滑り降りてきた恐らくこのエリアの監視官だろう宇宙人がシャモ星の子供を思いっきり蹴り飛ばした。そしてあろうことかバシバシと鞭打つ。
その光景に私たちは思わず絶句した。


「、!!」

「シャモ…!ごほ、ごほ…!」


おじいさんがシャモと呼んだその子を庇うようにして抱き締めた。


「シャモは悪くない、ワシのせいじゃ!」

「ふん、口答えするなぁ!!」


あ、私もう無理だわ。
バキッとその監視官の顎を思いっきり蹴り飛ばす。面白いくらい飛んでいったそいつに同情だなんて微塵もしませんけども。


「酷いじゃない。老人子供には優しくしなさいって習わなかったの?」

「く…ピーーーーーーッ!!」


監視官がどこからか取り出した笛を吹くと、わちゃわちゃと同じようなやつが集まるわ集まるわ。え、なにこれ集団行動?アリンコ?あ、ごっめーんアリンコでももっとましな事するよね。アリンコに失礼だよねごめんごめん。

ズラァ、と私を取り囲んだ監視官の方たちは私に勝ち目が無いと踏んだのか、にやりと笑う。


「ねぇ、人の大事な大事なお姉ちゃん取り囲んで何しようっていうの?バカなの?死ぬの?」


なんかいつの間にかいけしゃーしゃーと悟飯が私の前にいました。あんたいつの間に移動してきたの。早すぎて見えなかったんだけど。
にっこり、もうそれはそれは素晴らしい笑みを浮かべる悟飯、いや悟飯様に連中は数歩後ずさった。笑顔が黒過ぎてもはや殺人鬼だ。


「やめといた方がいいよぉ、俺たちゃとおっても強いんだぜ?…はぁあーーーッ!!!…え、」


そしてクリリンさんの気合い充分な突きに今度こそばらばらと散っていった。調子づいたクリリンさんは突きのあと超高速キックをお披露目する。そしてひゅんッと彼の前に移動してきた何かにゴスッとなんとも嫌な音を立てて拳がめり込んだのだった。


「いってぇええええッ!!!な、何すんだよクリリン…!」

「「あ、お父さん…」」

「ご、ごめん悟空!!!」


多分今のはどっちも悪くないと思うの。






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