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ダメ、絶対



セルゲームの日までのんびりしようと言うお父さんに対して多少なりとも疑念は持つものの、お父さんのことだし何か作戦でもあるのかと変に考えてしまう今日この頃。
かく言う僕も、お父さんの言葉通りのんびりと日々を過ごしているのだけれど、ふとした瞬間に強烈な不安に駆り立てられる時がある。セルに負けてしまうのではないかとか、そういうのじゃなくて、もっとこう、大切にしていた玩具をどこかになくしてしまいそうな、そんな感じ。
口元までつけた湯船をぶくぶくと吹かせながらそんなことを思った。


「…あと1週間、か…」


そういえば僕がお風呂に1人で入るようになったのっていつだっけ。小さい頃はずっとお姉ちゃんと一緒に入ってたからなぁ。こうやって思い返してみると、随分前だった気がする。昔は大きく感じたお風呂場も、いつの間にかこんなに狭くなっている。僕とお姉ちゃんが一緒に入ったなら、ぎゅうぎゅう詰めできっと満足して湯舟につかれないと思う。
あぁでも、それはそれでありかもしれない。なんたってお姉ちゃんをもっと近くで感じることができるんだもん。


「…今度お願いしてみようかな」


あわよくば明日でも。 誰も見てないことをいいことに盛大ににやけながらお風呂を出た僕。居間に入る前にきちんと口元を引き締めて、ドアを開けた瞬間。


「あ、悟飯。随分長風呂だったねぇ。のぼせた?」

「ーーーーー」


にっこりと笑うお姉ちゃんに目眩がした。
余分な脂肪を微塵も感じさせないバランスの取れた身体。しなやかに引き締まった腰にカモシカのような脚。陶器のように滑らかで白い肌が眩しくて思わずガン見した。
後光だ。お姉ちゃんの背後に後光が差している。神様ありがとう生きててよかった。世界の芸術品はここにあったんだね。
牛乳瓶片手に何故か仁王立ちしているお姉ちゃんは、首にかけているタオルのおかげで全部は見えないものの、パンツだけはいたお姉ちゃんは確かに全裸だった。うん…なんかこう…見えない方がくるというか…
一応僕も生物学上男なわけで。


「きゃぁああああああああッ!!!!」

「!?」


ばッとお姉ちゃんに背を向けてしゃがみ込む。ダメだ、あれはまだ僕には早かった。直視しちゃいけなかった。もちろん悪い意味ではない。今のお姉ちゃんを見ると僕の中のいろんなものがスパーキングしそうでダメだった。


「い、今の悲鳴はなんだ!?誰だ!?」

「お、お父さん…なんか、悟飯が…」

「え、悟飯?」

「なんだべ今のはって…シュエー!まぁたそったら格好して!!風呂上がりは服着てから出てこいっていつも言ってるべ!?」

「だって暑いし…」

「そったらとこ悟空さに似なくていいだッ!!」

「……うす」


お母さんにお説教されてるお姉ちゃんを横目に、鼻の奥から今にも垂れ流れてきそうな赤いあいつを止めるべくバチィンッと鼻を覆った。出来るものなら鼻つっぺしたいんだけど。
不意に僕の視界にひょっこりとお父さんが顔を覗かせて、思わず後ろに尻餅をついた。


「悟飯、今の悲鳴って…」

「…僕です」

「やっぱし……随分女の子みたいな悲鳴だなぁ」

「あは、はは……」


大丈夫、まだお父さんにはバレていない。半分垂れてる赤い液体には。それを悟られた瞬間僕は終わる。いろんな意味で。


「はは、わりぃな悟飯ー、シュエってば変なとこオラに似ちまったみてぇでよ、暑い日なんかあぁやってタオル首に引っ下げるだけで出てくるんだ」

「そ、そうなんだ…」


グッジョブお父さん。
そういえば小さい頃も確かにあんな感じだった気がする。あぁでも、そのたびに僕が服を着せてたからそのときはそんなことなかったんだ。
いつもは僕が先にお風呂入ってたから遭遇することなかったけど、今日はお姉ちゃん外でドラム缶風呂に入ってきたのだろう。なんともいいタイミングで鉢合わせてしまった。

ようやっと落ち着いてきた鼻から手を離し立ち上がる。振り返るとシャツ1枚を着たお姉ちゃんが心底暑そうに裾をぱたぱたさせていた。あぁ、シャツだけとかお姉ちゃんエロすぎでしょ…


「ごめんね悟飯ー、見苦しいもの見せちゃって」


いいえ寧ろ眼福です。
もちろんそんなこと言えるはずもなく、ぽんぽんと僕の頭をなでるお姉ちゃんからなんだかいい匂いがして、くらりと目が回りそうになった。


「シュエ、ちゃんとズボンもはいてくるだ。おめぇは女の子としての自覚が足りねぇだ!」

「言葉遣いは気を付けてるつもりだけど…」

「どの口が言うべ」

「…お、お父さん、僕部屋に戻ってるね」

「お、おう…」


何か言いたげなお父さんを素通りして自室に戻る。ばたん、とドアを閉めた瞬間、ずるずるとドアを背にして床にへたりこんだ。
あ、危なかった…後もう少しあの場所にいたらいろいろとまずかった…
脳裏に焼き付いたお姉ちゃんの身体がフラッシュバックする。白くて、くびれがきれいに曲線を描いてて、すらっとした四肢で……あぁ、ダメだ…どうにもこうにも離れてくれない。


「ッ…ま、まともにお姉ちゃんが見れないかもしれない…」


両手で熱く火照った顔を押さえて、がっくりと項垂れる僕だった。





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余談ですが、当サイトの孫家のお風呂事情は、家の中にちゃんとしたバスルームはあるものの、夏場や暑い日には外でドラム缶風呂をするという設定になっております。




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