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人間変わらないなんてありえないのだ



「セルゲームねぇ…」


天界にてどこから出してきたかもわからないようなテレビを見ながらぼやく。粋なことをするもんだと思う反面、なんて残酷な知らせなんだろうと軽く絶望した。セル曰く、ルールは既存の天下一武道会と同じ仕様とのこと。けれど、セルに挑む代表者が全員負けた場合、地球に住む全ての人間を消しにかかるらしい。
…今更になって勝てるかどうか不安になって来た。ベジータさんやトランクスさんでさえ敵わなかった相手。でも、私だって精神と時の部屋で鍛錬したんだ。強くなったし、正直に言うと私はベジータたちに勝てる自信はある。生まれつきのこの脚力も随分鍛えたもんだ。


「悟空さんと悟飯さんは、あとどれくらいで出てくるんでしょうか」

「丸1日まであと3時間ってところだ」


あと3時間かぁ…意外と長く感じる。お父さんのことだから丸1日を全部使い切るってことはしないと思うけど、どうなんだろう。もし仮に悟飯の超サイヤ人の調整とかしてたんなら話は別になって来るよね。
うーん、早く2人に会いたいなぁ。


「焦ることはない。勝負の日まで9日もあるんだ。お前たちが出てきてから1日は経っていない。少し休むがいいい」

「ピッコロさんも部屋に入るの?」

「そのつもりだ」

「ふん、その必要はない。ここから先はサイヤ人にしか踏み込むことのできない領域だぞ」


じろり、とピッコロさんがベジータさんを睨んだ。ちょ、こんな時に喧嘩とかよくないから。ベジータさんも煽るようなこと言わないでよ。ぶっちゃけ言うとここには短気な連中しかいないんだから。すーぐぷっつんしちゃうんだから。いい加減にしてよね。


「ねぇトランクスさん」

「…俺に振らないでくださいよ」

「この中で比較的温厚なのはあなただけだと思うの」

「……」


どこか釈然としてなさげな彼はふいっと目を逸らした。私本当にそう思ってるからね。あの2人も悟飯を見習えばいいのに。あんなにいい子他にはいないよ。

腕組みして1人で頷いている(トランクスさんが怪訝な目で見てきた)と、神殿の中から覚えのある気が2つ現れた。え、もう出てきたの?思ってたより早かったなぁ。私やベジータさんの読みは外れたね。

そして出てきた悟飯に小さく心臓が跳ねた。


「…みんないる」
「あれ?やっぱベジータもトランクスもいっぞ。セルの気も感じるし…一体どうなってんだ?」


金髪…親子そろって金髪とかなにそれ怖い。私も金髪だけどなんか…あ、はいごめんなさい自分を棚に上げました。てゆーか本当に私とお父さんの考えることが同じ過ぎて戦慄いてるんだけど。
…それより。


「お、シュエー!おめぇここで待っててくれたんか?」

「えッ。あぁ、うん。せっかくだから一緒に帰ろうと思って」


ちらっとお父さんの隣に佇む弟に目を向ける。…一瞬誰だかわかんなかったし。だいぶ長かった髪がすんごい短くなってるってのもあるけど、うん、雰囲気がね。私の後ろでピッコロさんが見違えた…と愕然と呟いた。わかるそれ。ピッコロさん私今あなたの心情すっごい察してる。
にしても、金髪かぁ…お母さんに怒られそうだな、これは。よくて号泣。何事もないことを願います。…無理か。


「お姉ちゃん!」

「のぁあッ!!び、びびった…」


ぼうっとこれから落ちるであろうお母さんの雷について考えていると、ひょっこりと目の前に青いくりくりの目玉が現れた。数時間前は私より身長低かったのに、今じゃ大体同じくらい。なんだ。男の子ってこんなに背伸びるの早かったっけ。どうだっけ。それとも私がただ単にチビなだけなのか。うっわぁそれは嫌だなぁ。せめて弟よりかは大きくありたい。


「えへ、久しぶり」

「あぁ、うん。そうだね」

「見て見て、お姉ちゃんとお揃いだよ!ちゃんと超サイヤ人にもなれるようになったし、ほら!」

「わかったわかった!だからそんなにん迫って来るんじゃありません!」

「…僕に言うことはないの?」


うるうると涙目(上目遣い)で見上げてくる悟飯にうッ…と息が詰まる。そ、そんな目で私を見ないでよ…だってしょうがないじゃない。見違えたあんたを見てると、その…心臓がだな…
あ…あぁあああ……!やめろ…!抱き着くな…!可愛すぎて死ぬ!


「ッ…おかえり悟飯。頑張ったねぇ」

「うん。ただいま、お姉ちゃん」


嬉しそうに笑った悟飯を見ると、全部がどうでもよくなった気がした。私の肩にすりすりと顔を寄せる悟飯の背中に手を回して、いつも通りに頭をなでた。髪質がふわふわになっててピシャーンッと私に稲妻が落ちたのは私しか知らない。






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