Gift | ナノ

手を伸ばす赤髪
目の前にはおんなが、いる。
じい、とそのかんばせを見つめてやるといっそ感嘆する程に顔を火照らせ視線を逸らしてしまうのだ。
小振りな、柔らかい耳。
ふっくらとした、愛らしい唇。
瞳は潤みを湛え、小さな鼻に己の眦を下げた。

「なまえ、」
「なあに…?」
「かわい。」
「…っ、しゃんくす、」
「ずっと見ててもそればっかだ、可愛い。…それしか出てこねェよ。なぁなまえ、お前おれに魔法でもかけたのか?」

何処からどう見ても、このおんなは可愛い。可愛くて仕方が無い。
先ず初心なところが心根を擽った。
穏やかで、甘ったるい。
涙脆く、非力だ。
己が居なければ生きていけない、おれだけのおんな。
彼女の長所に狂おしいまでの恋慕を起こし、短所は愛らしいとばかりに情火が燻る。
なまえ。


「なァ知ってるか?…魔法使いは悪ィ事したら閉じ込められるんだよ。」

秘め事を話す様に、耳許で声を突き立ててしまえばふるりと連絡揺れるその体。戸惑った眼差しに血液が駆け足となって暴れ出す。

「可愛い可愛いなまえ…は、どっちだろうなァ。」

大事に大事に、部屋へと隠し仕舞う日が来るやもしれず。一本しかない腕を薄い肩へ絡める為に伸ばすのだ。




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