安心したいがため
"俺には関わるな"
そう言われた時は本当に戸惑った。 私何か怒らせるようなことしたかな、って。
でも、すぐに分かった。 御幸は責任感じてるんだろうって。
だから私は、承諾した。
でも御幸のこと放っておけなくて、何より私が御幸から離れたくなくて、メールしようなんて、言っちゃった。
…あの日から喋らなくなった代わりにメールを毎日のようにしてる。 驚きなのは、ほとんどが御幸からということ。
部活が忙しくて帰るのが遅いから当たり前なのかもしれないけど、それでも、帰ったら必ずメールをしてくれる。
それがすごく嬉しくて、私はいつも話を聞いてばかり。 御幸の顔を想像して、まるで直接話してるみたいに感じながら毎日やり取りしてる。
でもね、最初はすぐにメールなんてしなくなると思ってた。 やっぱりお前がいなきゃダメだ、なんて言ってくれるんじゃないかって、少しだけ、期待してた。
でも、私が御幸と呼ぶようになってから、もう2年も経ったね。 2年も経った今でも、私は御幸のことが気になってる。
御幸のクラスを横切る時、いつも御幸を探してる。 そして御幸の隣に野球部の仲間がいつもいるのを見ては、2つの意味で安心してる。 1つは、一人ぼっちでないこと。 そしてもう1つは、御幸の隣に、女の子がいないこと。
おかしいよね。 突き放された時点で、あまり会話出来ない時点で、私の気持ちは届かないって分かりきってるのに。 御幸の隣は、私でありたい、なんて。
目を閉じれば、いつも御幸のこと考えてる。 御幸に会いたいって、願ってしまう。 メールじゃなくて、直接話したいの。
だからね、たまに教科書忘れたフリして教科書を借りに行ったりするの。
最初は怒られると思ってた。 でも御幸は普通だった。 それだけですごく安心した。
御幸の顔を見れただけで、私はほっとするんだよ。
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