苛立ちが増す
学校内では一緒にいることはほとんどない。 まあクラス違うしあいつにはクラスの友達がいる。 今まで一緒に過ごしてきた友達と関わらないなんて無理な話で、それは仕方ないことだと思ってる。 友達っていっても女の子だしな。
「御幸くん、ちょっといい?」
このあいだの試合のスコアブックを見ていたら、見知らぬ女の子が俺に声をかけてきた。 またいつもの呼び出しかと多少面倒に感じつつ、立ち上がってついていく。
「あの、これ…作り過ぎちゃって、御幸くんに、貰ってほしくて」
「へぇ、すごいな。けど悪い、それは受け取れない」
「えっ…ど、どうして」
「あれ知らないの?俺好きな子いるから」
「…山手、さん?」
「そうそう。で、あいつは俺が好き。 これがどういう意味か分かるよな」
しゅんとして俯いた女の子は受け取るだけでも受け取ってくれないかと言い出したけど、受け取る気は全くないから断る。 ちひろに負けたのがそんなに悔しいのか不服そうな顔してるけど、そんなの俺には関係ない。
「…山手さんのどこがいいのよ。たいして可愛いわけでもないのに」
「一つだけ言ってやればアンタみたいに媚び売らないことかな」
さらっと言い捨ててんじゃ俺教室戻るからとその子を置き去りにする。
たいして可愛くないだって? そりゃ着飾ってるアンタと比べればそうかもしれない。 けどちひろは着飾る必要がないほど可愛いってことだろ。
つか俺は可愛さで決めてねぇし。
「…なんだかな」
若干の苛立ちを感じながら教室へ戻れば楽しそうに会話してるちひろと倉持。 それが今は余計に苛立ちを募らせて、教室に入るのをやめて俺は他の場所へと移動した。
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