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声に出す応援

今日は、練習試合の日。
早く御幸が活躍してるとこ見たい、なんて思いながら部活に取り組む。
午前中で練習は終わりだけど、試合終わってたらどうしよう。
試合ってどのくらいで終わるのかな、終わってないといいけど…。

「ちひろ!集中しなさい!」

「あ、はい!すみません!」

頭の中は野球部の試合のことばかりで、今日の練習はヘマばかり。
先輩に叱られながら、ようやく練習が終わった。

汗かいて着替えたい、でも試合がどうなってるのか気になって、べたべたの身体のまま荷物を持って野球部のグラウンドまで走った。

「よかった…まだ終わってない…!」

息切れしながら辿り着いたグラウンドはカキーンという気持ちのいい音が響いている。
それだけで試合は終わっていないんだと理解して、御幸を探す。
御幸はキャッチャーってポジションだから、あそこにいるはず…でも、居ない。
あれ、なんでだろう、なんて疑問はバットを持ってる御幸を見つけて解決した。

「あ、今は攻撃なのか」

じゃあ、御幸が打つとこ見れるかもしれない。
なんて思ってたら一塁にいる人が急に走り出して、二塁へ。
あれ?なんで?なんて思ってたら、またカキーンって、いい音が響いた。

「わ、すごい!御幸が打った!」

一人で興奮してる私、他から見たら変な人かもしれない。
でもそんなことより御幸が活躍してることに目が行ってドキドキしてた。

やっぱり御幸は、野球をやってる時が一番輝いて見えるね。
これだけは昔から変わってない。

だから私は、ルールとかよくわかんなくても応援するんだ。

「頑張れー!」

声に出して応援するのは久しぶり。
近寄るなと言われたあの時からずっと、応援に行くことはあってもこうして声に出すことはなかったから。

声に出して応援出来ることが、こんなにも嬉しいことだなんて今まで気づかなかったな。

これからは遠慮なしで御幸のこと大声出して応援していいんだよねなんて思ったら、胸が高鳴って、わくわくした。

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