お前の隣は | ナノ

動揺と焦りと

誰だ、
その男は誰なんだ。

「おい御幸、お前今すげー顔してんぞ」

「…だろうな」

今朝、ちひろが俺の知らない男と廊下を歩いているのが見えた。
いつも女友達といるちひろが、男と歩いてたんだ。

俺はすぐさまメールをしてあの男が誰か聞こうとした。
ポケットから携帯を出して、手が止まる。

何をこんなに焦っているんだ俺は
ただ並んで歩いていただけだぞ
手を繋いでたわけでもなければ抱き合ってたわけでもない

それなのに問いただすような連絡を入れるのか?

「…くそ」

結局連絡は入れられず、その日はあまり連絡を取らなかった。

"相談というか、聞きたいことあるんだけど…"

次の日になって、珍しくちひろからメールがきた。
何の気なしにどうしたと返信して、その返信を見て眉をしかめた。

"御幸はさ、女の子から告白されて断ったことある?"

何故、こんなことを聞くのか。
理由は一つしか思い当たらない。
ちひろが告白されたってこと。
そしてどう断ろうかと悩んでいること。

やっぱり、昨日の男か。

"相手に気を遣ってたらそこに付け込まれるから正直に話して断った方がいいと俺は思ってる"

すぐに返信して、息を吐く。
そして思い知らされる。

ちひろは俺のものじゃない
ちひろを狙う男はいくらでもいる
油断していれば、他の男に取られかねない

でも今の俺はちひろを近くで守ることは、できない。

"そうだよね。ありがと、ごめんね変な質問して"

会いたい、今すぐ。
俺も聞きたいことがあるんだ。
メールじゃなくて、直接。

けどそんな時に限ってちひろとはすれ違い、放課後の部活は始まってしまった。

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