周りの変化
なんでだろう。
「河原のことが好きなんだ」
「…ごめんなさい、私に関わらないで」
なんで。
「友達から、始めない?」
「っ…私に近寄らないで!」
最近、急に男の子に声をかけられることが増えた。
廊下を歩いてたら急に目の前に現れたり、昇降口で待ち伏せされたり、机の中に手紙が入ってたりする。 一年生の頃からずっと、男の子には近づくなオーラ出してたから最近まではこんなこと全くなかったのに…。 急に、告白されることや話しかけられることが出てきた。
「もう、やだ…なんで、なんで急に…」
「茜…」
「…ごめん、彩夏。 彩夏に言っても仕方ないのにね」
「ううん、いいよ。 けどほんと、なんで急にこんなことになったんだろうね」
放課後、彩夏と教室で一緒に課題をしながら原因を考える。 でも全然思い当たる節がなくて、溜め息が出た。
私は愛想よくないし、つかよくした覚えはないんだけど…それに元々そんなモテるほどの魅力というか、可愛さはない。 なのに、何の前触れもなく急にモテだした。
怖いのに嬉しいわけなくて、いい迷惑でしかない。 でも男の子が怖いなんて公言出来るわけない。 そんなこと言ったら、面白がって話しかけてくる連中は絶対に一人はいるから。 それに、そのことでからかわれたりいじめられるかもしれない。
だからずっと隠してる。 まあ、御幸君にはバレたんだけど。
…そういえば、急に男の子に話しかけられるようになったりした前の日…御幸君に英語のプリントを見せてあげた。 私はまともに話せなかったけど、御幸君からは文字じゃなくて話しかけられもした。
もしかして、それが原因なんじゃ…
「…茜?」
「御幸君、なの…?」
「え?」
「こんなことになった、原因…」
…いや、そんなわけ…ないよ。
だって、今まで普通に接してくれてた。 怖がらせないように、笑いかけてくれてた。 野球馬鹿って言葉が合うくらい、すごい野球好き。
「…今日は帰ろう、彩夏」
「う、うん…」
違う、違うよ。 御幸君は…あの人とは違う…。
そう自分に言い聞かせて、私はすぐに家に帰った。
← | →
戻る |