おはようの一言

いつもと変わらない朝、練習。

今日もまた何も起こらずに平和に過ごせる、なんて考えながら倉持と教室へ向かった。
今日に入るとすぐに河原の姿が見えた。
自分の席についてボーッとしてるみたいで、全然動かない。

いつもの友達と一緒じゃねぇんだ、なんて思いながら特に特別なことでもねぇし横目で河原を見てから普段通り自分の机に荷物を置いた。

「…お、はよう…」

少し大きめの欠伸をしてる時、聞き逃してしまいそうなほど小さな声が聞こえた。
誰だ?なんて考える必要もなく俺は河原を見る。
俯き気味ではあったけどばっちり目が合って、俺に挨拶したんだろうってのはすぐに分かった。

俺から話しかけることは最近になって稀にすることはあったけど、河原から話しかけてくるのは初めてでそりゃもう驚いた。
驚くと同時になんか知らねぇけど嬉しさも込み上げてきて、おどおどしてる河原に俺も挨拶をした。

「おはよ、河原」

にかって笑えば若干照れたような顔してそのままふいっと顔逸らされる。

これ、進歩だよな。
おはようしか言ってねぇけど。

このノリで普通に話したり…なんて無理か。
全然顔合わせてくれねぇし、挨拶したとはいえ河原の恐怖心がなくなったわけじゃないだろうし。

「おい御幸、英語の宿題やったか?」

「え、そんなのあったっけ」

「チッ…やっぱやってねぇか…あーくそどうすっか英語今日1限だろ」

宿題かあ…すっかり忘れてたな。
こういうとき他に友達いれば見せてもらったりとか出来て楽なんだろうな。
まあ今更あがいても遅いし諦めるしか…。

今から自分で解くにしても時間足りねぇし、かと言って気軽に宿題見せてーなんて話しかける友達もいない。

…河原は倉持が来たことで完全に俺の方を向かなくなってる。

「…なあ」

「!」

「英語の宿題、見せてくんない?」

せっかく会話したんだし、これを機にってことでダメ元で俺から河原に話しかけてみた。


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