匡貴さんに本命チョコ!!

〜匡貴さんに本命チョコ!!〜

探しに探してようやく見つけた。
本当は1番最初に渡したかったのに、いつの間にかに最後になってしまって。

廊下を歩く大好きな背中に海は飛び付いた。


「まーさたーかさーーーーん!!」


勢いよく飛び付いた海に、身体をブレさせることなく平然とする二宮。呻きもしないことに慣れを感じる。


「匡貴さん私がくるの分かってたんですね!愛を感じてたんですね!むしろ私を待ってたんですね!」
「………」
「どうしたんですか匡貴さん!久しぶりの海ちゃんに感動してるんですか!」


1日ぶりぐらいに会えた二宮に海のテンションは最高潮だ。しかし二宮は海の方を見向きすらしない。何も言わないが、どこか不機嫌で。


「匡貴さん匡貴さん!貴方の大好きな海ちゃんですよ!好きなだけ愛してくれて良いんですよ!」
「…………遅い」
「………へ?」


やっと喋ったと思ったらそんな一言で。
海はきょとんと首を傾げる。


「…いつもみたいに朝から隊室にいると思えば、氷見はさっきまでいたなんて言いやがる。しかも出水にも犬飼にも辻にもさっきお前に会ったと言われた」
「匡貴さん?」
「そいつらは揃ってお前からのチョコ貰ってる上に、他の奴らもお前からのチョコを持ってる」


どんどん声まで不満げになっていく。
海はぱっと背中から離れると覗き込むように二宮を見上げた。
見下ろすような視線と交わり、どきりと心臓が跳ねた。


「鋭い視線!見下してる!かっこいい!」
「てめぇ俺の話聞いてたか」
「はい!もちろんです!匡貴さんは私になかなか会えないのに他の人たちは私に会ってチョコ貰っててヤキモチ焼いてたんですね!ほんっと匡貴さんって分かりやすくて可愛いですよね!ヤキモチ焼かなくても私の本命は匡貴さんにだけですよ!!」
「………だったらさっさと寄越せ」


すっと視線をそらされ、手だけを出される。海はにこにことその手に自分の手を重ねた。


「…おい」
「匡貴さん!チョコと私、どっちが良いですかー?両方ですか!?両方受け取ってそんなチョコレートプレイだとか…」


ぐいっと重なった手が引かれ、そのまま二宮に口付けられる。ペラペラと喋っていた海はぴたりと固まった。


「なに馬鹿なこと言ってんだ。どっちが良いも何も、お前はもう俺のものだろ」
「!!」


平然と言ってのけた二宮にぶわっと顔に熱が集まった。赤くなった顔で二宮を見上げる。


「ま、匡貴さん…?」
「…お前、反撃されたときの反応は可愛くなるな」
「ななななな何を仰いますか!!ままま匡貴さんの方が断然可愛いですよ!」
「色々突っ込みたいことはあるが、まあいい」


重なった手とは別の手でくいっと顎を持ち上げられる。


「さっさとチョコ寄越せ。じゃなきゃ本当にお前を食うぞ」


にやりと笑った二宮に、海の頭はキャパを超えた。


「是非とも私を食べて下さーーーい!」


正面から飛び付いてきた海を受け止めると、顔をしかめた。攻めすぎるといつも通りに戻るのか、と。これから適度な具合を見つけなければと、二宮は小さく溜息をついた。
そっと、海の背中に手を回して。


そして出された巨大なチョコに大きな溜息をつくまで、後少し。


拍手主(完)

→二宮連載夢主
光に友チョコ

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