ひゃみちゃんに友チョコ

〜ひゃみちゃんに友チョコ〜


バァンっと自動ドアのはずの隊室の扉が開くと、中にいた氷見は驚くことなく入ってきた人物を出迎えた。


「お疲れ様です、海先輩」
「ひゃみちゃんお疲れさまー!」


いつものごとくハイテンションな海に微笑む。そしていつも手ぶらな海が大きな袋を持っていることに首を傾げた。


「ひゃみちゃんひゃみちゃん!ひゃみちゃんにはいつもお世話になってるから、これ!」
「こ、れ…」
「バレンタインのチョコだよー!友チョコ!ひゃみちゃんは私の大事な友だちだからね!」
「わ、私に、ですか…?」
「うん!もちろん!」


差し出されたチョコをそっと受け取った。

まさか海からチョコを貰える思っておらず、どう反応していいか分からない。


「…まさか、貰えるなんて思わなかったです」
「え?なんで?」
「何でって…海先輩いつも二宮さん二宮さんで、作戦立ててるのも犬飼先輩たちと一緒でしたから…」
「匡貴さんのことはもちろん愛してるからね!澄晴くんたちも私の心の友だから!でもひゃみちゃんのことも私は心の友だと思ってるよー!」
「きゃ、海先輩…!」


海が氷見にぎゅーっと抱き着くと、氷見は一瞬驚いたものの、嬉しそうに微笑んだ。そう思ってもらえていたことが、素直に嬉しい。


「…ありがとうございます、海先輩」
「えっへへー!どういたしまして!」
「あ、それで、私も海先輩に、これ」


そっと差し出された可愛らしいラッピングの袋に海はきょとんと氷見を見つめた。


「なに?」
「チョコですよ、友チョコ」
「私に!」
「はい、もちろん」
「わーい!やったー!ひゃみちゃんから友チョコだー!」


予想以上に喜ぶ海に、用意して良かったと胸が満たされた。小さなことでも大袈裟なくらい喜んだり反応したり。二宮隊にはいないタイプの人物にいつも楽しいと思える。


「海先輩、これからもよろしくお願いします」
「うん!もちろん!ひゃみちゃんも作戦チームの仲間入りだね!」
「そ、れは遠慮したいような…」


氷見は苦笑したが、喜ぶ海にはもう聞こえていなかった。
これがやっぱり海らしいか、と喜ぶ海に優しい笑みを浮かべた。


→てっちゃんに義理チョコ

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