隠岐孝二17巻登場記念!A

本部で大好きな後ろ姿を見つけ、思わず頬が緩んだ。足取り軽く近付き、とんっと肩を叩く。


「そこの綺麗なお姉さん、これからおれとお茶でもしません?」
「は?…あ、隠岐か。お疲れ」


にこにこと人の良い笑みを浮かべながらナンパ紛いのことをする隠岐に素っ気なく返す。けれど隠岐の笑みは崩れない。


「相変わらず素っ気ないなあ」
「貴方が愛想振りまきすぎなんじゃないの?」
「こんなこと言うの春さんにだけですよ」
「どうだか」


それだけ言うと隠岐に背を向けて歩き出した。隠岐は隣に並んでついてくる。


「何でついてくるのよ」
「春さんどこ行くんです?」
「…狙撃訓練」
「ほなおれも狙撃訓練行きますわ」
「隊室行くんじゃないの?」
「そのつもりでしたけど、春さんが行くならおれも行きます。たまにはおれにも指導して下さいよー」
「指導なら奈良坂とか当真に頼みなさい」
「おれは春さんが良いんやけどなー」
「水上に隠岐を甘やかすなって言われてるから」
「へー?それはつまり、春さんはおれを甘やかしたいってことなん?」


横目で春を見ながら問いかければ、春は足を速めて前を歩き出す。僅かに見えた耳が赤いことに無意識に口角が上がってしまった。クールな振りをしているだけでただの可愛い人だと思いながら再び隣に並ぶ。


「春さんカワイイなあ。そういうとこホンマ好きですよ」
「…と、年上をからかうな」
「からかってなんかないですよ。おれ思ったこと言うてるだけです」
「…じゃあ思わないで」
「ほんなら…」
「言うのも当然却下」
「えー、そら無理ですわ」
「無理なら指導しないわよ」
「お!指導してくれるんです?」
「無理じゃないならね」


スタスタ歩く春に笑顔を崩さずについてくる隠岐。うーんと態とらしく唸りながら思案し、何かを思い付いたようにぱっと顔を上げた。そして先ほどよりも良い笑顔で春を見つめる。
その笑みにうっすらと頬を染めながらも嫌な予感を感じ取り、それを誤魔化すように更に足を速めた。しかしすぐに腕を掴まれ、そのままだんっと壁に押し付けられる。


「ちょっと…!」
「思うのも言うのもダメなら、こうするしかないやないですか」
「は…?」


にこりと微笑んだまま、隠岐はゆっくりと春に顔を近付ける。


「な、ちょ、お、隠岐…!」
「春さんが言うたんですよ。思うな言うなって」
「だから…!な、に…!」
「思うのも言うのもアカンなら、行動に移すしかないやろ?」
「…!」
「おれの気持ち、感じて下さいね」


そう言いながらサンバイザーを外したのを合図に、2人の唇が重なった。


End

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冒頭のお姉さんと呼ばせたかっただけ←
チャラい感じ目指してみました!まだ情報が少ないからどれが合うかなって…!
年上相手もなかなか良いかもしれない…
隠岐くん17巻登場おめでとう!


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