反論さえ呑み込んで

※えろくないけどそんな雰囲気…
注意です。

ーーーーー

「…かっこいいなぁ」


生駒隊の過去ログを見て無意識に漏れた言葉。うっとりと見つめる先にはライトニングを構える隠岐の映像。そんな春に細井と水上は呆れたように溜息をついた。


「かっこいい?誰のこと言ってるんですか!如月先輩!」
「へ!?」


南沢にひょっこりと覗かれ、慌てて映像を消した。南沢はきょとんと春を見つめる。


「春ちゃんいつもここで見てるの俺らのランク戦やろ?じゃあ今のも俺らのランク戦か!それ見てかっこいい言うたよな?誰や?誰がかっこよかったん?」
「い、イコさん近いです…」
「なんやて!俺か!俺のことかっこいいって言ったんか!」
「い、いや…今のは違…」
「聞いたか隠岐!今春ちゃんが俺のことかっこいいって言うたで!イケメンの隠岐よりも!俺のことを!」


キラキラと子供のように喜ぶ生駒に苦笑した。どう訂正しようかと思案したが、そんな余裕はなくなることになる。


「…へぇ。春がイコさんのことを」
「お、隠岐くん…?」


いつも纏う柔らかい雰囲気ではなく、何やら不穏な空気を纏う隠岐に、春は伺うように声をかける。
にこりと微笑まれた。けれど分かる。この笑みは笑っていない。やばいと思い、助けを求めるように水上たちに視線を向けたが、目が合うことはなかった。意図的に逸らされている。


「水上先輩…!」
「ほー。イコさんやなくて水上先輩のこと言うてたん?」
「え!?い、いや、あの、隠岐くん、違くてね?私が言ってたのは…」
「なあ春ちゃーん。少しあっちでおれとお話しでもせぇへん?」
「………え」
「イコさん、作戦会議まだ始まりませんよね?少し春とお話ししてきますわ」
「お話?ここじゃ出来ないんか?」
「ええ、まあ。大事な話なんで2人っきりでしたいんす」
「?そうか?まあええけど、なるべく早く戻るんやで」
「春次第ですね」
「!?」
「?」
「ほな行こか、春ちゃん」


にこりと表面上はいつもと同じ笑みで春の腕を掴んだ。ちゃんを付けて呼んでくるのは嫌な予感しかしない。しかしそんなことお構いなしにぐいぐいと春を引っ張って隊室を出て行く。
それを生駒と南沢はひらひらと手を振って見送った。水上と細井は再び溜息をつく。


「…ほんまアホやな」
「ほんまに。けど助けてあげない水上先輩も酷いやん」
「アホか。何で態々痴話喧嘩に巻き込まれる真似せぇへんといかんねん。絶対嫌やわ」
「これで作戦会議始まるの遅くなっても知らんで」
「そしたら隠岐しばく」
「春は?」
「如月は隠岐にお仕置きやら何やらされるんやからええやろ」


平然と言ってのけた水上の言葉に、細井は頬を赤くしつつ頭を抱えるのであった。


◇◆◇


「待って…!お、隠岐くん…!」
「待てない言うてるやろ」


首筋に何度も口付けを落とされ、逃げようとしても手首を壁に固定されて身動きが取れない。鼻から抜ける甘い声だけが響く。


「ここ、廊下…!人通るから…!」
「んー?春は人に見られたらやばいこと期待してるん?」
「ち、ちが…!そもそも今の状況も見られたら気まずいよ…!」
「別にええやろ。おれと春の仲は知られてるんやし」
「そういう問題じゃなくて!は、恥ずかしいから…っ!」


ペロリと首筋に舌を這わせられ、ぐっと唇を噛んで声を抑えた。涙目になって隠岐を睨む。


「…その顔、そそるだけやで?」
「隠岐くん…!」
「春が悪い」
「何で…!」
「おれのこと見てかっこいい言うてたのは分かるけど、イコさんに聞かれてすぐに否定せぇへんから」
「それは…イコさんの勢いに負けて…」
「ほなやっぱり春が悪い。そんな流されやすいなんてお仕置きせなアカンやろ?」
「ん…っ!」


舌を這わせた首筋に歯を立てた。がぶっと甘く噛み付き、痕を残す。そこへ舌を這わせ、再び歯を立てて。がぶがぶと何度も何度も繰り返すいつもとは違う痕のつけ方に春の頬は蒸気し、息が荒くなっていく。それを満足そうに見つめた。


「かわええわ、春」
「んん…っ」
「ちゃんとおれしか見えんようにしたる」
「お、隠岐く、ん…っ!」
「作戦会議始まるまで、な」
「もう始まって……!!」


反論しようと口を開いた春の唇を塞いだ。不満も甘い声も吐息さえも、全てを飲み込んで。


end
ーーーーー

なんか隠岐くん書けないな?好きなのに…甘いだけのを書きたかったのに……………このまま裏書きたい…
隠岐くんはリベンジする…!いっぱいする…!練習して書けるようになる…!


title:確かに恋だった

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