誕生日を祝ってみる〜中級編！〜

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「さて！気を取り直して尾行中級編だよ！」
「………はい」


や、やっぱりまだ怒ってるかな？
でもただ匡貴さんのとこに行って新ちゃんを1人にしただけでどうしてそんなに怒るのかな？


「あ！もしかして新ちゃんってば私のこと好…」
「早く中級編やりましょう」


照れちゃってるね！！
でも照れてるのを追求するなんて可哀想なことはしないよ！よし！早速中級編開始だね！


「中級編はあの人だよ！」


そう言って私は准兄を指差した。
新ちゃんがどこかほっとした表情をしてる…
むむ、准兄だからって油断してるな！


「確かに准兄は天然で抜けてるとこもあるけど、戦闘のときはしっかりしてるからね！舐めたらダメだよ！」
「いえ、嵐山さんを舐めたわけでは…」
「うんうん！なら良いんだけどね！よし！ミッションスタートだよ！」


1人で本部の廊下を歩く准兄の尾行が始まった。


「准兄はね、殺気さえ飛ばさなければ気付かないから！」
「殺気、ですか？」
「そうそう！あ、敵意でもダメだよ？そういうのには敏感だから！」
「はあ…」


広報やっててファンも多いし、そういう視線には敏感みたい。そんな熱狂的なファンがいるなんて大変だね！
みんなもっと好きな人のこと考えて過激なことしちゃダメだよね！


「…それじゃあ、ただつけていれば良いんですか？」
「うん、そうそう！あ、でも…」


私がそう言いかけたところで准兄の姿を見失った。新ちゃんは目を丸くして驚いてる。うん、そうだよね。


「准兄はいつも忙しくて人の数倍以上働いてるから、行動早くてすぐに見失っちゃうんだよね！」


あはは、って笑ったら新ちゃんに大きな溜息をつかれた。


「…そういうことは先に言って下さい」
「相手の情報を人に求めてばかりじゃダメだよ！」
「相手が嵐山さんになるとは思わなかったのですが…」
「いつも敵がどんな相手か分かるわけじゃないんだから！」
「……確かにそうですね。すみません。（この人、意外とまともなこと言ってるな…）」
「良いの良いの！そんな新ちゃんをスキルアップさせるために私が訓練してるんだから！」
「そこは余計なお世話というか…」
「照れない照れない！」


照れる新ちゃんの背中をパシパシ叩くと、後ろに気配を感じた。急いでばっと振り返る。そして後ろに立つ人物に私と新ちゃんは驚いた。


「じゅ、准兄！」
「嵐山さん…」
「お前たち、こんなところで何をやっているんだ？」


私たちの前にいたはずの准兄が後ろに…
あれ、前にもこんなことがあったような…


「というか、お前が二宮さん以外といるなんて珍しいな！」
「今は匡貴さんのために新ちゃんのスキルアップ中だからね！」
「スキルアップ？」
「尾行のスキルアップ！」
「誰を尾行しているんだ？」
「え？准兄だよ？」
「俺か！それは気付かなかったな！」
「やった！なら大成功だね！」
「さすがは俺の妹だな！辻も頑張れよ！」
「………はい（なんだこの兄妹…）」


准兄はまだ仕事があるようで忙しそうに去っていった。その後ろ姿に大きく手を振る。


「さて！中級編は成功だね！」
「バレたのに成功…ですか…？」
「尾行ってバレてないんだから成功だよ！」
「…いいのかそれで…」


新ちゃんがぶつぶつ言ってるけど、成功ってことに変わりはないね！よーし！次行こう！


中級編、結果！
尾行ってバレてないから大成功！
このまま突っ走ろう！


（いや場所がバレてる時点で尾行も何もないでしょ）
（嵐山さんも天然だな…）
（あの兄妹謎すぎ）
（…やっぱりどんどん辻が可哀想になってきました）
（ほんとにね？面白くて仕方ないよ）
（……この人…自分が傍観者だからって…）
（次は一体誰になるだろうねー？）


→上級編

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