誕生日を祝ってみる〜上級編!〜



「はいはーい!上級編だよー!」
「…テンション高いですね」
「新ちゃんがどんどんスキルアップしてて嬉しいからね!」
「何にもスキルアップしてる気がしないのですが」


またまた謙遜しちゃってさ!
そういうとこも可愛いよね!まあ匡貴さんのヤキモチ焼いた可愛さには及ばないけど!


「スキルアップしてる新ちゃんには上級編で、彼の尾行をしてもらうよ!」


そう言って私は廊下を歩くきくっちーを指差した。


「菊地原…ですか」
「うん!きくっちーは強化聴力持ちでしょ?だから尾行の練習相手にはぴったりだよ!今回のテーマは、物音を消すこと!」
「…なるほど」
「さあ!気を引き締めて行こう!」


きくっちーの尾行が始まった。

物音を立てないように後をつける。
抜き足差し足忍び足ーっと…

…今回はなかなかに好調!廊下を歩き続けるきくっちーは気付いてないね!


「ふふふ、良い調子だね!流石はスキルアップした新ちゃん!」
「…菊地原、どうしてこんなところに来ているんでしょう。ここはB級隊員の隊室なのに…」


あれ、そういえばそうだね?
誰かに用でもあるのかな?疑問に思いながら追いかけていると、きくっちーはなんと、二宮隊の隊室の前で止まった。


「え?え?きくっちーと二宮隊って仲良いの?」
「…話しているのを見たことはありませんが…」
「まさか…!風間さん大好きなきくっちーは、匡貴さんを個人総合2位から引きずり落とすために寝首をかく気じゃ…!?」
「それ引きずり落とす以前の問題です」


こうしちゃいられない!
匡貴さんは私が守る!!そして匡貴さんの寝顔を見て良いのも私だけだよ!

私は後ろで新ちゃんが止めるのも聞かずに飛び出した。きくっちーに近付くと、二宮隊の隊室が開いて匡貴さんが出てくる。久しぶりの匡貴さん超かっこいい!!


「匡貴さーーーーん!!」


きくっちーから守ることを忘れて匡貴さんに飛びついた。けど華麗にかわされる。


「きくっちーがいるからって照れないで下さい!」
「久しぶりに会ってそれかてめぇは」
「え!?寂しかった!?そんな…!匡貴さんってばツンデレ!可愛い!」
「……」


めっちゃ顔しかめてる!もう!匡貴さんはどんな顔しててもかっこよくて困っちゃうね!


「ちょうど良かった」
「んー?きくっちーどうしたの?私と匡貴さんの仲に嫉妬?」
「…この人、いつ会ってもムカつく」
「それ本人前に言っちゃダメな台詞だよ!」


全くきくっちーもツンデレなんだから!
私の周りにはツンデレが多すぎるよ!1番可愛いのは匡貴さんだけどね!


「二宮さん、この人ちゃんと縛り付けといて下さい」
「なに?」
「周りうろうろされて迷惑なんで」
「え!?きくっちー気付いてたの!?」
「あんな大声で尾行だなんだ叫んでて気付かないわけないじゃないですか。ぼくじゃなくても聞こえますよ。バカなんですか?」
「き、きくっちー辛辣…!」
「それじゃそういうことなんで」


そう言ってきくっちーは特に挨拶することもなく行っちゃった。残されたのは私と匡貴さんだけ。


「…尾行だと?」
「う、」
「なんのことだ?」


や、やばい!これは匡貴さん答えるまで逃がしてくれないやつだ…!ど、どうしよう!サプライズにしたいのに…!
こんな真っ直ぐ見つめられたら何でも答えちゃうよ…!!


「先輩」


そこへ現れた救世主!
新ちゃんがこんなに頼りになる子だったなんて…!侮ってた…!若者の成長は早いね!1個しか違わないけど!


「先輩、さっき犬飼先輩が呼んでいましたよ。尾行ゲームはつまらないから終わりだと」
「え?」
「次は違うことしたいから戻って来い、だそうです」
「そ、そっか!そうだね!バレちゃってたし、そうしようか!」


流石新ちゃん…!本当にこの子できる子!


「それでは二宮さん、そういう訳なので」
「…ああ。防衛任務までには隊室に戻れ。良いな」
「了解です」
「あ!なら私もそのとき一緒に…」
「お前は帰れ」
「えーー!!」
「今日の防衛任務は深夜だ。遅くなる前に帰れ」


こ、これは…!?
夜は危ないから早く帰ってくれないと心配で防衛任務に集中出来ないってこと…!?
匡貴さん…!!なんて素敵なの…!!
うん!そうだね!匡貴さんに心配はかけられないね!


「了解しました!匡貴さん!私は家でいつまでも匡貴さんのこと応援してますから防衛任務頑張って下さい!」
「…ああ」


デレた…!
うるせぇっていつもみたいに言われると思ったのにデレた…!もう匡貴さんかわいすぎる…!今日はサービス多いですね!!


「澄晴くんーーー!聞いてーーー!匡貴さんがデレたよーーー!」
「デレてねぇ」
「………」


私は超ハイテンションでそのまま廊下を駆け抜け、新ちゃんを置いて澄晴くんの元に向かった。新ちゃん呼んでたって言ってくれたし、行かなきゃ不自然だからね!だからついでに澄晴くんに色々聞いてもらおーっと!


上級編、結果!
バレちゃったけど、それは尾行する前の話だし物音は消せてたよね!だから成功!


(…なんか悪寒がした)
(風邪すか?)
(いや、そんな優しいものじゃない)
(風邪が優しいって…)
(なんか面倒なことに巻き込まれそうな気がする)
(そういえば今日は辻たちの尾行上級編じゃないですか?)
(…ランク戦してたから見逃したけど、見に行かなくて正解だったかもしれないなー)
(おれは気になりましたけど…)
(いや、逃げるべきだと思う今すぐに…)
(いたーーーーーー!!澄晴くーーーーん!!あ!!公平くんもーーー!!)
(うわ、やっぱりきた)
(ちょ、おれもターゲットにされたんすけど!)
(とにかく逃げようか、出水)
(了解です)
(あ!!何で2人とも逃げるのーーー!照れないでよーーー!!)


→超上級編

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