作戦8、名前を呼んでみる
「うっわレベル高」
「バカだなー」
「いきなり大丈夫ですか?」
「もう新ちゃん大好き!大丈夫だよ!それに気付いたんだよね!」
本当に新ちゃん良い子!あとの2人にも見習ってほしいね!全く!
「心の友よりも遥か上に君臨する二宮さんが二宮さん呼びなのはおかしいってね!」
「今更なに言ってるの?バカなの?あ、バカか」
「なんか澄晴くん今日はいつにも増して辛辣だね!でもめげないよ!心の休息をした私はそんなことじゃめげないからね!」
「……で、名前呼べるんですか?」
「うん?」
「この前なんかおかしかったのに、二宮さんの前で名前呼ぶことなんか出来るのかって言ってんですよ」
「公平くん心配してくれてるの?優しいねー!」
「心配はしてますよ。自分の身の」
「あ、俺も」
「…二宮さんあれから凄い不機嫌ですからね」
何やら3人とも疲れてるみたい。
二宮さん不機嫌でご機嫌とりでもしてたのかな?…………なにそれ!私もやりたかった!
「とにかく!二宮さんの名前を呼んでキュンってさせてくるね!」
「ブチっとかやめて下さいよ」
「え!?理性切れるくらいに効果あるかな!?うわ!うわ!やばい凄く楽しみ!」
「やばいのお前だよ」
「…………」
「…………」
「2人とも何か言って!」
澄晴くんは相変わらずのツッコミを入れてくれたけど後輩2人に若干引かれた気がした!それは流石に傷付く!
「それじゃ健闘を祈っててよ!」
「こっちに被害がないことを祈ってるよ」
「同じくです」
「(俺たちに被害がないよう)頑張って下さい」
「新ちゃん天使!うん!いってきまーす!」
新ちゃんから何か副音声聞こえた気がするけど気のせいだよね!
…っていうか、あれ?
いつもみんな来てくれてるよね?何で今日は私見送られてるの?
あ!気を遣って2人きりにしてくれるのか!気がきくなぁもう!
そんなこんなで二宮隊の隊室へやってきた。
いつものように勢いよくお邪魔する。
「二宮さんお疲れさまでーす!」
「……何の用だ」
あれ、本当にご機嫌斜めだ。
一切こっちを向いてくれない。ふふん!なら好都合!名前を呼んで振り向かせてやる!
「ふっふふーん!まさ……」
あ、あれ…
「ま、……まさ…っ、た…」
あれ、あれ、あれ…!
口が動かない…!
な、何でだろう!二宮さんこっち見てないし公平くんとか澄晴くんとか新ちゃんみたいに普通に呼べば良いだけなのに…!
心臓がバクバクして名前呼べない…!!
そんな私に気付いて二宮さんは不思議そうにこちらを見てきた。わー!二宮さんが見てくれてる!これは名前呼ばないと!って思うのに…、な、なんで…!
「ま、ま、……っ」
「何を言っている」
「ま、まさ…っ!」
「おい」
「ま……さ…っ…!」
「何が言いたい」
椅子から立ち上がって近付いてきた二宮さんに全身が熱くなった。やばい…ダメかも…!
「お前この間からおかしいぞ。どうした」
「ま、…ま…、ま…っ!」
「ま?」
覗き込んできた二宮さんにやっぱり限界を迎えた。
「ま…っ!雅人くんーーーーーー!!」
「おい!」
私は叫びながら隊室を飛び出した。
作戦8の結果
私どうしちゃったんだろう…またも作戦失敗…
(雅人くんーーーー!!)
(てっめまた来たのかよ帰れ!!)
(どうしようどうしよう普段の私が分からないー!)
(今ここで俺に迷惑かけてんのが普段のお前だっつの!)
(これもう無理じゃない?)
(おれもこれ以上進展しないと思います…ていうか、前のように戻るかどうか…)
(二宮さんへの耐性つけさせないと…)
(いや耐性って……今まで大丈夫だったのに何言ってんの辻ちゃん)
(…あー…二宮さんが突き放してたから大丈夫だった…とか?)
(振り向かれたら動揺するって…めんどくさいなーあいつ…)
(本当に面倒ですけど、最後まで付き合いましょう)
(…ま、乗りかかった船だし)
(今までの苦労を無駄にしてたまるか!意地でも名前呼ばせてやる…!)
→作戦9?
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