BがLな高山さん西野さん4
2021/10/22 21:27
BがLな高山さん西野さん3の続きです。
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あのデートから、ひと月ぶりに彼女とデートに行くことになった高山くん。
その帰り道、彼女を家の前まで送り届けていると、今日はどこか雰囲気の違う彼女が、ようやくここで本題を切り出します。
「あのね、かずやくん。実は私、好きな人ができちゃったの」
「...えっ?」
「だからね、別れてほしい」
呆気なく振られちゃいます。
正直、ふーんそっか、ぐらいの気持ちですが、とりあえずテキトーに「そ、そうなんだ...」と落ち込んだふり。
「それで、その好きな人のことなんだけど、」
「かずやくんの友達の...なーくん、なんだよね」
「もしよかったらで良いんだけど、なーくんの連絡先欲しいなぁーって...」
こんな時だけ上目遣い使いまくりな女、きもいですね。
“ッ嘘だろ、なんでなぁくんなんだよ...っ”な高山くん、放心状態で言葉を失います。
しかも、猫撫で声で「私のこと...応援してくれるでしょ...?」と高山くんの優しい性格に付け込んでくる彼女。西野くん、今です、殺っちゃいましょう。
「そ、れは...うーん、できない、かな、」
もちろん断ります。当然です。
でもそんな優しい断り方じゃ、彼女には効きませんよ。
「なに、応援できないの?」
「ちがっ...ッほ、本人に確認取らなきゃ、」
「あのさぁー。私初めてなーくんに会ってからずっとあの喫茶店に通ってるのっ!結構喋って仲良くなったし、すごく良い感じなんだよ?ねぇ?私の言ってる意味わかる?」
それぐらい本気なの、な彼女、お怒りモードで高山くんに迫ります。
「あー...だるッ、いいからスマホ貸して、」と乱暴になっていく口調に、高山くんも戸惑いが隠せません。
それもそのはず、この数日で死ぬほど西野くんにアピールして、サラリとかわされて。連絡先の交換もすでに断られているという経緯が。
「ねぇなーくん?ライン教えてよぉー」と言われた時の西野くん、“消え失せろ、金髪ブスが”とか思ってるよねきっと。よしよし、それでいいんです。
「許可なしには無理だよ..っ、ごめんね..?」
「は?うざ、まじ使えねーわ。もういい、終わりね」
最後に高山くんに舌打ちをお見舞いしてから、家に入っていく彼女、いいよいいよ別れちゃえよこんな奴。
夕焼けでオレンジ色に染まった道を、とぼとぼと歩く高山くん、そろそろ自分の気持ちに気付いていい頃なんじゃないでしょうか。
元カノと西野くんが一緒に居るところを想像して泣きそうになる高山くん。
彼女が他の男と居るのが嫌なんだ、と思い込みたいけど、無理があるよね。
西野くんが他の女と...。
考えただけで苦しくなって、認めざるを得ない状況。
「違うッ、絶対違うッ、そんなわけない...っ」
反発する高山くん、地面に座り込んじゃう。
気付きたくないそれに、気付いてしまう、一番つらいやつ。
「なぁくんは、だって...ッ、」
“俺と同じ男の子なのに、何で...、”
気づいたと同時に失恋が確定、とか絶望しちゃうし、恐らくもっと面倒なことを考えてそう。
“なぁくんと、仲良いんだ...”
“もしかしたら、なぁくんのタイプだったり”
“前だって、可愛いとか褒めてたし”
“.....連絡先教えてあげた方が、良かったのかな”
ぐるぐる悩んじゃう高山くん、それでも手は動かなくて、結局教えられないんだよね。
そんな次の日。
放課後、本日剣道部がお休みな高山くんは、西野くんと二人美術室に来ています。
「ふふなんなん、この絵は」
「えー見えない?これ、どいやさんなんだけど、」
「ここ角ばってるやんっ、はい、やり直しー」
「えー、まじかぁー!」
ちなみに西野くんが爆笑したりおしゃべりになったりするのは、高山くんが居る時だけです。それ以外に対しては、超無気力、死んだ魚の目です。
高山くんにのみ甘い笑顔を見せる、そんな乙女西野くん、可愛すぎますね。
それを見るたびに、ドキドキと鼓動がうるさくなる高山くん、気持ちに気付いてからはいつも以上にうるさい。
でも、思い出しちゃうんですね、昨日のこと。
「あのさ...なぁくん、」
「ん?なにー?」
「俺、実は、彼女と別れたんだよね」
高山くんの唐突な切り出しに、目を大きくする西野くん。スラスラと動いていた筆が思わず止まります。
....で、ドラマだと、その手のカットが入ったりなんかしちゃったり...。
それからエンドロール、次回...みたいな。
うん、やっぱドラマにしよ?
ということで、本日はこの辺で。
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