彼女たちの秘密は
2022/05/17 10:16
とにかく異能力持ちの乃木坂ちゃんが見たい(唐突
ということで、
白石さん、西野さん、飛鳥さん、の三人を主人公枠に置いて
ファンタジーモノを創るなら、こういうのがいいなと
いう妄想をサクッと綴ります。
あ。オチは特にありません。笑
能力の細かな設定は後ほど。
異能力な乃木坂ちゃん、いかがですか?
────────────────
【白石家の朝 編】
「はぁまったく!七瀬ー!飛鳥ー!早くしないと遅刻するよ!朝ごはんできてるからッ」
自身の弁当におかずを敷き詰めながら、テキパキと準備をする長女・麻衣。
23歳、昨年乃木大を無事卒業した彼女は、地元企業に就職し、現在社会人一年目である。
「おはよう...もっと早く起こしてよ」
眠たげに目を擦って降りてくる末っ子・飛鳥。
17歳、すでに制服に着替えている彼女は、乃木高に通う高校一年生。
「起こしたよッ起こしたけど、起きなかったでしょ!
で、今日の弁当、出来てるから持ってって!ちゃんと完食してよ?」
「はいはーい、わかってますよぉー。」
「七瀬は?まさか、まだ寝てる訳じゃないでしょ?」
「ななは外出中ー、多分彼氏ん家」
「また抜け出したの?!」
「最近彼氏できたっぽい。まあ、いいんじゃん?
大学生だし。」
姉のことなど気にも留めない様子で、表情を変えず、パクパクと朝食を頬張る飛鳥。
頭を抱える麻衣でしたが、“まぁ、七瀬ももうオトナだしね...”とため息を一つこぼして納得します。
「じゃあ、私は行って....あ!やば、スープ、作ってない...ッ、」
「出せば?自分で」
「........わ、わかってるよ....」
───見かけはどこにでもいる普通の姉妹。
スーツを身につけ、制服を着こなし、一般社会に溶け込む彼女たちですが、実は。
....誰にも言ってはならない
....絶対にバレてはいけない
恐るべき秘密を抱えているのでした。
「えーと...ど、どうしたらいいんだっけ?よし、そうだ、レシピ、レシピを見ながらぁ...」
「くくっ、普段から使えばいいのに。」
やかましい飛鳥の小言を無視しながら、お気に入りのスープジャーに手をかざします。
頭の中でイメージするのは、先週作って妹たちにも好評だった絶品の具だくさん野菜スープ。
そっと目を閉じて、味や温かさ・舌触りなどを思い浮かべて、イメージを固まらせる麻衣。
すると──
「っ!よっしゃぁー、出来たッ!じゃ、行ってくるー」
「ほーい、いってらっしゃいー、
あ、ごめん、服買いたいから、お小遣いを置いてってくださるとありがたいんですが」
「ッ、無駄遣いは、ぜーったいしないようにね!」
睨みを効かせながらも、近くに置いてあったメモ用紙に軽く指先で触れる。
「戸締りよろしくー!」
「はぁーい....って、」
テーブルの上には皺ひとつ無い新札の一万円札が。
「コレはできるんかい...ありゃ、常習犯だな」
“私もあの能力欲しいー、”なんて思いながら、朝食を食べ終え、スクールバックを肩に抱える飛鳥。
スマホを手に持つと、現在時刻は8:30。
すでに乗る予定のバスは間に合わず、確実なる遅刻を確信すると《ある人》に電話します。
「お!もしもし!どうしたぁー?まさか緊急事態か?!」
「いやいや大体分かるでしょうよ。いくちゃん、あと10分しかないのでお願いしまーす」
「はーい......っと!!!!!おはよーっ」
「おはよー、よし行くか...、あ、戸締り戸締り」
電話を切った瞬間。
音もなく、スッと飛鳥の目の前に現れた彼女は、生田絵梨花。
白石家三姉妹の従姉妹であり、飛鳥と同じクラスメイトでもあります。
そして。彼女もまた、秘密を抱える一人でした。
「あれ?飛鳥?イヤホン持った?」
「...あぶな、ん、おっけ。持った」
「じゃあ、行くよー!行ってきまーすっ」
絵梨花の元気な声が家中に響いた後、再び音もなく、
二人は姿を消して、瞬く間に学校へと着いてしまうのでした。
【幸せと苦痛の狭間 編】
「....んんう....か..ずみん...?」
一方その頃。
昨夜自室の窓から抜け出した次女・七瀬は、恋人がひとり住んでいるアパートへと向かい、夜を共にしたのでした。
目を開けると、隣に居たはずの彼女が消えていて、途端に不安な気持ちが広がる七瀬。
ベッドサイドに畳まれて置かれた服など目もくれず、下着姿のまま、寝室を飛び出します。
「か、ずみん...ッ、!」
「おはようなぁちゃんっ、そろそろ朝ごはん...って!
な、なッ、なんで?!下着?!ふ、服着ないと..っ」
「....もぅ...心配したやんか...」
ぎゅっと後ろから抱きつく七瀬。
エプロン姿の恋人・一実は、熱くなった顔を後ろに向けることなど出来ず、ガチガチと体を硬くします。
「ご、ごめんね..!朝ごはん、フレンチトースト...作ってたから!」
「ん、フレンチトースト...?」
「そうだよ。いっぱい食べていいからね?」
「ふふ...うんっ、ありがとう。おはよう、かずみん」
「へへ、おはようっ、なぁちゃん!」
はにかんだ笑顔を見せながら、後ろにいる七瀬の髪にふわりと一つキスを落とす一実。
そうするとまた、恥ずかしそうに耳を赤く染め上げて、フライパンへと視線を戻すのでした。
もちろん、抱きついている七瀬も然り。
突然のキスに顔を真っ赤にしながら俯いて、抱きつく力が強くなります。
“かずみんと...離れたくない。ずっと、ななのそばに...”
チクリ。
傷む胸を我慢しながら、口を開きます。
「なぁ...?かずみん、」
「んー?どうしたの?」
名前を呼ぶと、わざわざ手を止めて、いつものように振り向いてくれる彼女。
エプロンの内側に腕を入れて、さらに密着。
お互い目が合って、吸い込まれるように見つめ合う。
「かずみん...っ」
「...なぁ、ちゃん...」
「 キ ス し て 」
たったひと言。
上目遣いの七瀬が誘うように呟くだけで、
うっとりとした表情をした一実は、頬に手を添えて顔を近づけます。
くっついた鼻先をずらして、ゆっくりと唇を食むようなキスに、くらりとする七瀬。
「ん、んっ」
「んん...ッ」
彼女の首に腕を回すと、嬉しそうに唇が笑うから、七瀬の心臓はドキドキと鼓動を早めます。
それから、離れないようにと言わんばかりに、一実の手が腰に回ってきて引き寄せられる七瀬。
気持ち良さに耐えられず漏れる甘い声。
今にも砕けてしまいそうな揺れる腰。
じっくりと時間をかけてキスを楽しむ二人。
ようやく解放されると、七瀬は熱い息を吐き出しながら、彼女に凭れるようにして抱きつくのでした。
「はぁ...っはぁ、」
「わ、ぁ!ご、ごめんね...!
あーもう、最低だよね...ほんと、ごめんなさい..!」
「ううん..っ、かずみんは、悪くないねん...、」
付き纏う不安とか。
こんなことをしてる罪悪感とか。
そのせいで、七瀬の能力は無意識のうちに、強めに出てしまったようでした。
「いやいや私が...!
き、嫌いに、なっちゃった、よね...ッ」
「そんなわけない..!
だ...大好き、やで、かずみん...っ」
「なぁちゃん...、」
「かずみんはななのこと、好き?」
「...へっ?!」
ブワーっと分かりやすいほど顔を朱に染める一実を、
再び、誘うように上目遣いで見つめる七瀬。
さっきと違って、抱きついている手が
躊躇いがちに震えます。
「ななのこと」
“あかん、こんなことッ”
“こんなの、虚しくなるだけやのに...“
「 好 き や ん な ? 」
「....愛してるよ。大好きだよ、なぁちゃんっ」
また、無意識のうちに力が強めに出てしまったらしい。
ふわっと笑って、好き以上の言葉を届けてくれる彼女。
少し大きな体格で温かな彼女に包み込まれて、
ドクンドクンと、また七瀬の心臓の音は騒がしくなります。
そうして、膨れ上がっていく....罪悪感と虚無感。
“こんなの、絶対あかん、よな”
“でも、こうでもしないと、かずみんは...”
“ななのことなんか...”
“....好きになってくれへんから...ッ”
「へへ...朝ごはん、食べよっか!」
「うん...ッ、あ、でも、先に服着たい...」
「うわぁぁ..!そ、だよね!うんうんっ、ヨシヨシ、
行っておいで!準備しとくからっ」
「すぐ着替えてくるな?」
ちゅ...と不意打ちにほっぺに口づけると、ワタワタしだす彼女。
七瀬は幸せと苦痛の狭間で微笑みながら、寝室へと戻るのでした。
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