隣の擬似姉妹 『登校編』
2021/12/14 15:24



隣の擬似姉妹(設定)の続きです。

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『登校編』(たかせまる)


次女・一実と三女・七瀬は毎朝同じ時間に家を出発。
高校卒業後、すぐに免許を取得した一実が運転席に座ると、助手席には七瀬が座ります。徒歩10分で着く場所にある高校で先に七瀬を降ろしてから、大学へ向かうのがお決まりの流れ。

「おねがいしまーす」
「はいはーい、あ、なぁちゃんっ、シートベルト忘れてるよっ!」
「あれ。できひん。なんでやろ(棒」
「わたしやってあげよっか!」

おっと早速来ました。この茶番も、お決まりです。
シートベルトを上手く引き出せないお芝居をしてから、いつものセリフを発します。
“まだまだなぁちゃんも子どもだなぁ”と愛らしい気持ちでシートベルトを着用させてあげる一実、キュンキュン瞳がハートマークになった計算高い七瀬のことなど気が付かず。

「へへ...いつもありがとうな...?」
「いやいやぁ、あ、猫ちゃん、大丈夫かな。
お!あっち行った。じゃあ出発しますか!」
「...あ、うん、」

男を一瞬で悩殺できる上目遣い炸裂....も不発に。
通りすがりの野良猫に目を奪われていた一実、七瀬渾身の上目遣い攻撃を無意識にさらりと躱します。
“かずみんの視線を奪いやがってッ、この泥棒ネコ...!”な七瀬、上手い、キレイに決まりました。

ようやく出発。整備の足りない道を通ると案の定、ガタガタと揺れる車内。

「ちょっと揺れるよぉー」
「うん!平気!全然平気!」

きもちわるいほど明るい口調の七瀬。
それもそのはず。急ブレーキやガタガタ道を通る際に、助手席を守るように出された一実の腕。
あまりにも紳士的すぎる振る舞いに、ドキドキが治らない七瀬、左の脇腹あたりに一実の手が触れて顔が真っ赤に染まっていきます。

“今日のオカズは、これで...ッ”
聞こえてくる七瀬の心の声、はたして何のおかずなんでしょうか。
気になるところではありますが、皆様、聞かなかったことにしましょう。思春期というのは、そういう時期なのですから。

高校の駐車場へ入っていく一実。
そこら辺で降ろす、という下衆な考えを持っていません。ちゃんと校舎内にある駐車場で降ろしてくれます。

「んーここしか、空いてないっぽいね、
...よし。バックで入れるか。」
「...ッ!!う、んっ」

助手席に腕を回して、後方を確認しながらバックで入れ始める一実、その整った横顔をチラチラと拝む火照った表情の七瀬。

“バックで、入れる...っ”
自然と内股になるのを抑えきれないまま、脳内でエンリピします。今夜のおかず、5割増し...といったところでしょうか。

「おっけぇ...着いたよ、なぁちゃん。って...」
「あ..ありがとう!じゃあ行ってくる、ッ」
「顔、なんか赤いような...大丈夫?体調悪い?」
「あかくないって..!ちょっと暑いだけ、」
「ほんと...?熱は...」
「わ、ぁ...っかずみ、んっ」
「んー...無さそうだけど...」
「平気やって...、い、いってくるな?」
「.....ボタン、外して?」
「なッ!な、にいって...、」
「制服のボタン、外して」
「あっ、車じゃッ...あかんって、誰かに見られたら、」
「なぁちゃん?早くしないと...いかせてあげないよ?」
「ッ!でもっななはじめてやし...べ、ベッドの方が!」

「ほら、ちゃんと体温計で測っておかないと!」


何処からともなく現れた、一実の《My体温計》。
穴があったら飛び込みたいほど羞恥心でいっぱいの七瀬は、大人しくボタンを外して沸騰しそうなほど熱くなった体温を測るのでした。


大学へ向かう車内。

「はじめて?...とか言ってた気がするけど、なんのことだろ...、帰ったら聞いてみるか!」




一緒に登校するだけでこんなに色々起きちゃうたかせまる、可愛いですよね。
まあ、真剣な表情の高山さんに見つめられながら『ボタン外して?』と言われたら、勘違いしてしまうのも、無理はないでしょう。
ドンマイ西野さん。頑張れ西野さん。
姉妹、禁断、クセになりそうですね。



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