入った部屋は客室のようで、ちょうどよくベッドが置かれてあった。
 その客室でいったい何度、中川は歳若い精を吐き出したのだろうか。ベッドの上で、雷翔は幸せそうに雷翔のものを頬張る中川の後ろを広げてやりながら、半ば驚嘆して子供を見下ろした。
 ローティーンの少女のような身体のくせに、中川はずいぶん淫乱だった。一度一度が長持ちはしないけれど、きっと絶倫の部類に入るのだろう。まだ熱を押し込めてもいないのに、何度吐精したか知れない。

「んっ……ぷはっ。レイ、さんっ、抜いちゃやだぁ……もっと」

 中川の内側から指を引き抜くと、中川は熱に浮かされきった顔と声で懇願してきた。

「はッ、なに、お前。指で満足できるのかよ?」
「あうっ……ン、だって、寂しいっ……」
「へェ。じゃあ、コレはいらないわけだ? 小せェ口で必死こいてしゃぶってたモンは」
「や、だ……欲しいっ。おねがい、レイさんの、僕にください……っ」

 中川は雷翔の高ぶったものに頬擦りをする。本当に先行き不安な少年だが、中川の未来など雷翔には無関係のことなので、早々に思考から放り出した。
 雷翔は中川の小柄な身体を持ち上げて跨がらせる。

「いいのか? こんなに小さいなら、俺の突っ込んだら、壊れちまうかもよ?」
「いいのっ、レイさんになら壊されてもいいのぉっ……!」
「ほんと、救えねーの。――壊しゃしねえよ。勝手に壊したら万里に怒られるからなァ」

 どうやら三宮は自分のもの同士でどうこうなろうと、三宮のものである以上構わないらしい。けれど勝手に無茶をさせたら、中川が未成年だということもあって、さすがに叱責されるだろう。叱責だというのをいいことに、最初に邸を訪った日の逆襲をされるかもしれない――というか三宮は常にその機会をうかがっているようだった――から、わざわざ付け入る隙を与えてやるつもりは雷翔にはない。抱かれるだなんて冗談ではない。

「ほら、自分でいいように動いてみろよ。俺はいっさい動かねえから」
「や……、そんなぁっ」
「壊したら俺が万里に怒られんだよ。――それとも中川ちゃんは、俺が万里にお仕置きされちゃってもいいわけだ?」
「だ、だめ……」
「じゃあてめえで動け。体格差ありすぎてやりにくいんだよ」

 三宮邸で一番長身らしく、身体も鍛えている雷翔と、小柄で細身の中川では、まるで大人と子供だった。
 再三促して、中川はようやく自ら秘部に雷翔の雄をあてがった。ローションで濡れそぼった場所が、新たに雷翔のものに垂らしたローションと合わさって、くちゅりと水音を立てる。それだけで中川の身体は歓喜に震えて、甘い声を出した。ローションはこの客室に置いてあったものだ。どうして客室にこんなものが置いてあるのか雷翔は気になったが、それは三宮邸だからだろうと強引に納得した。
 充分に解した場所であっても、雷翔の規格外を包み込むには狭いらしい。中川が小柄なので余計なのかもしれなかった。

「ん、あ……あぁあっ…………!」

 中川が尻込みしながらも張りつめた雄の先端をくわえこんだ瞬間、中川のものから白濁が迸った。小さいものが跳ねて、中川の奔流が中川の腹と雷翔の胸に飛び散る。
 雷翔は軽く笑って、達してわずかに萎えた中川の茎を摘んだ。指の腹で軽く擦ってやれば、中川は泣くように悲鳴を上げた。

「ひゃんっ……! だ、だめぇっ、僕っ……まだいじっちゃ、やだぁっ」
「ははっ、先っぽ入っただけでイきやがって、早漏。これじゃ俺はいったい何度、てめえの精液浴びりゃいいんだろうかな、俺がイくまでに」
「あん、あっ、ごめ、なさいぃっ……! ゆるして、レイさんっ、ゆるしてぇっ」
「別に俺は怒ってねえよ? 俺は何を許せばいいんだか」
「っそこ、そこ、だめなのおっ」
「ああ――ここ?」
「いやあぁ……!」

 涙や涎で花顔をぐしゃぐしゃにしながら、中川は懇願してくる。雷翔は中川の訴えを無視して、親指の腹で中川のものの先端を強く撫でた。中川の悲鳴はいっさいの甘さを含まず、ただ強すぎる刺激への苦痛に満ちていた。

「ほら、やめてやるからさっさと動けよ」
「あ……っ」

 幼い牙から手を離してなめらかな腰を撫で上げる。中川はほっとしたように息を吐いてから、ゆっくりと雷翔のものを飲み込んでいった。

「……っ」
「はあ、あ……んっ」

 熱い内奥へと導かれ、内壁が雄に絡み付いてくる。熱を孕んだ吐息を零したあと、雷翔は喉で低く笑った。
 ――中川の身体は天性の娼婦だ。雷翔にとっての最上は水嶋で、これを譲る気はないが、中川の内壁も相当に名器だった。
 中川がその華奢な身体に雷翔の猛々しい雄をすべて飲み込んでからは、彼は怖じ気づいていたのが嘘であるかのように腰を振った。ベッドの軋む音も、肉のぶつかり合う音も、いっさいを中川のあられもない嬌声が掻き消してしまう勢いだ。
 こんなに大声で喘いでいては、部屋の外を通りがかった人間に何をしているか一瞬でバレるな――と雷翔は思ったが、そもそもが主に三宮が原因で性的に乱れきった邸だ。いまさらどうということもないだろう。雷翔も、性的なことに関する羞恥心というものが欠如しているので、誰に露見しようと構わなかった。

「あっ、あ、僕もうっ、イっちゃ……っ、イっちゃうぅ――――!」

 またかよ、という半分呆れた雷翔の呟きも、やはり掻き消された。――無遠慮に扉が開けられる音もだった。
 気を失ってもたれかかってくる中川を尻目に、雷翔は扉のほうへ視線を遣る。そこにはやたら妖しげに笑む、白金の髪の男が立っていた。

「あは、楽しそうなことしてるんだー」

 雷翔には、近寄ってくる細身の男に見覚えがあった。

「……三日月トーリ、だっけ?」
「はーい、トーリ君でっす。俺のこと知ってるんだぁ、レイ」
「マネージャーに、三日月には気をつけろって言われたんでな」
「やだなあ。彬と同じこと言う。トーリ君は平和主義者なのに」
「は、セックスで世界が平和になるってか?」
「ふふー。みーんな気持ちいいことが大好きになれば、ケンカなんて馬鹿らしくなると思うよ?」

 淫靡に笑みながら、三日月はベッドに上がってくる。三日月は気絶したままの中川を雷翔から引き離して、代わりに自分が雷翔にのしかかった。雷翔はとくに抗わず、されるがまま仰臥する。
 力強さを保ったままの雷翔の雄にそうと触れて、三日月は舌なめずりをした。

「ご主人様よりおっきーんだ。……ねえ、俺とも遊んで、レイ?」
「……いいぜ。このまんまじゃ収まらねえからな」
「やったぁ」

 中川にはこれ以上ファンサービスしかねるので、雷翔は三日月の誘いに頷いた。
 三日月は喜ぶなり服を乱して、雷翔の更なる欲情を誘うように、殊更にいやらしい動きで下半身を露出させた。
 どうやらこの細身は、ただでさえ大きいものをさらに大きくさせたいらしい。

「好き者」

 自ら秘部を解す三日月の耳元に囁く。実に楽しげな笑声が、喘ぎに混じって返ってきた。

「あ、は、だって大きいと、きもちいーじゃん」
「大きすぎても女には迷惑らしいけど?」
「トーリ君、女の子じゃない、からねえ」

 三日月は喘ぎながら言う。それはそうだ、と雷翔は頷いた。
 頷きながら雷翔は、自分の指にローションをまぶしながら三日月の秘部に垂らした。一声もなく垂らされた液体に驚いたのか性感を得たのか、三日月は小さく喘ぐ。
 三日月自身の指で広げられているそこに、雷翔は長く節くれ立った指を滑り込ませた。

「ひっ――あ、あぅっ……」

 新たな圧迫感からか、三日月が喉を逸らして身体を震わせた。

「苦しい?」

 揶揄するような声で聞いてみれば、三日月はかぶりを振る。

「くるし、けど、んっ、きもちイイ……っ。レイ、もっと、増やして」
「苦しいのが気持ちいいのかよ?」

 雷翔は嘲笑しながらも、三日月の望み通り指を増やしてやる。
 余裕ぶってはいるが、正直なところ雷翔はさっさと中心に集まった熱を吐き出したくてしかたなかった。吐く息は劣情と混じってすっかり熱い。三日月の淫らな姿が煽ってくるから余計だった。
 雷翔が愛しているのは水嶋一人に違いないが、水嶋以外の痴態でも雷翔は興奮できた。余程射程外でなければ、なまめかしい姿を見せつけられれば象徴は兆す。雄だからしょうがないことだ。
 水嶋には、雷翔の貞操観念はこの世で信用できないものの三指に入る、とまで言われている。それは水嶋に溜った性欲をすべてぶつけて抱き潰すことで撤回させたが。
 雷翔の性欲は強い。気付いたときにはすでにそうだった。まともだったころでさえ、すり寄ってくる人間は軒並み抱いていた。
 その人よりも多いものの捌け口を水嶋だけにしていたら、心を籠絡するより先に水嶋の身体が参ってしまう。ただでさえ雷翔は、暴力を振るってからセックスに持ち込むのだから、性欲はできるだけ水嶋以外で発散しておく必要があった。
 雷翔が壊したいのは水嶋の心だ。身体ではない。

「ん、んっ、苦しいのも、ちょっと痛いの……も、きもちいいんだよ、ねっ……っ」
「ビッチのうえにマゾヒスト。どうしようもねえ奴多過ぎねえ?」
「は、ぁうっ……。レイも、含めて……っ? ――ッあ!」

 快楽に乱されながらも、明らかに面白がっている声音で三日月は言う。雷翔は三日月の言い方が少し癇に触ったので、いきなり指の根元まで突き立てた。

「うるせェよ」
「あはっ……図星なんだ……っくぁ、ぅんっ」
「うるせって。お前に言われんのは、なんか微妙にムカつく」
「あん、ん……そ、れ、理不、尽……じゃんねぇ……」
「知るかよ。――もういいだろ? 解し足りなくても、どうせお前気持ちよくなるんだろうし」

 雑に指を引き抜くと、釣られて三日月の指も抜け落ちた。三日月はそこを埋めるものがないと物寂しいらしく、切なげに啼いた。

「ん……でも、無理矢理入れられる痛いのは、トーリ君好きじゃないなあ。――ねえ、俺、バックがいいんだけどなー。犯されてるかんじして興奮するし、レイも動きやすいっしょ」
「無理矢理は嫌でも、雰囲気だけなら興奮材料か。だったら退いて、ケツ向けろ」

 余裕を装って言い放つと、何故か三日月はぽかんとした。

「おい?」
「……あは。なんかすっこい、ゾクゾクした。レイに命令されるのって、なんか、いいかも」
「……マゾヒスト」

 命令されてわずかでも快感を得るだなんて、雷翔にはまったく理解できなかった。三宮邸には救いようのない人間も多ければ、理解の範疇外の人間もまた多いようだ。
 雷翔は勝手に感じている三日月を引き剥がして、ベッドにうつ伏せに押し付けた。ベッドが揺れて中川が小さく呻いたようだったが、雷翔の知ったことではない。
 三日月の頭を押さえつけ、腰を高く上げさせて、雷翔はどろどろになっている三日月のそこに熱い穂先をあてがった。

「はあ、ん……レイ……?」
「お望み通り、雰囲気だけは強姦にしてやるよ、淫乱マゾヒスト」
「ひあ……あ……っ!」

 三日月の秘部は、充分に解れていたようだ。難なく雷翔の狂気を飲み込んだ。三日月は求めていた熱をまるごと飲み込めたからか、嬉しそうに締めつけてくる。
 三日月は雷翔の大きさをじっくり味わいたいようだったが、雷翔がそれに付き合ってやる義理などない。雷翔は快感を得られる範囲で乱暴に三日月の内部を犯した。

「い、あっ、ア、レイ……っ、ん、こ……な、激し、っ……! ンぁ、もっと、ゆっくりっ」
「は! 乱暴にされて気持ちいいんだろうが」
「や、あ、きもち……はうっ、けどぉっ……あっん、ん、っ」
「だったらとやかく言うんじゃねェよ」
「ひゃ、あァン……っ!」

 抉るようにして内壁のとある一点を攻め立てる。三日月のような淫乱なら当然このしこりで強い快感を得るだろうと雷翔は踏んでいて、果たしてそれは的中していた。

「んあ、ア、あうっ、レイっ、レイ……っ! そ、こ……ばっか、だと……ッぁん、おれ、イっちゃ……ッ」
「関係、ねえよ、てめえの都合は……っ」
「やァ、やだぁっ。もっといっぱい、欲し……のにぃっ……。こん、な、はやくっ……はぅ、イきたく、な……アんんっ」

 泣きながら「もっと」とねだる三日月に、雷翔は意地悪く唇を歪めた。

「だから、てめえの都合なんて知るかっつうの……!」
「あぁぁ……っ! だめ、やんっ、だめぇ……っ! イっちゃう、から、レイっ……!」

 三日月の言う「もっと」というのは、決して「もっと激しく」ということではないだろう。「もっと長く味わっていたい」と言いたいのに違いない。
 雷翔はそれを察しながらも、自らの欲望を吐き出すことを優先した。これが水嶋で、さらに雷翔の機嫌が良ければ、多分付き合ってやったろう。雷翔にとって、水嶋以外の人間はあまり大事でない。

「あッ……く……もう……イっ――――!」
「ん…………っ」

 三日月が細い悲鳴を上げる。零れ出た三日月の白濁が、シーツをさらに汚した。
 三日月の吐精の衝撃で締めつけられて、雷翔も熱を吐き出す。内部に奔流を流し込まれた三日月は、喜ぶように淫靡な声を短く上げている。

「ん、あ……ぁ……。あは……レイの、たくさん入った……」
「中出しされて喜ぶとか相当だな」

 雷翔は見下すように言いながら、萎えたものを引き抜いた。三日月が不満げな顔で振り向く。

「……もうおしまい?」
「終わり。もう帰る。せっかく進藤いねえのに、彬いねえんじゃな」

 近くにあったティッシュを手繰り寄せて汚れを拭き取る。
 身なりをある程度整えてから、雷翔は中川を見下ろした。声をかけると、中川の身体がびくりと跳ねる。途中から意識を取り戻していたようだが、狸寝入りをしていたらしい。

「――じゃ、後片付けよろしく、中川ちゃん」
「あははっ、雷翔の鬼ぃ」
「なけなしの優しさは、ぜーんぶうちの彬ちゃんに注ぐんでな」

 そう決めている雷翔は、どうにも意地悪をするのは憚られる相手が邸にいることをまだ知らなかった。

prev | next | top
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -