▽冷たい堀川くんとそんな堀川くんが大好きな審神者♂

「主さんって本当なんにもできないですよね。このあいだ執務室は掃除したばかりなのにもう足の踏み場もないくらい資料まみれですし。短刀の子たちでも使ったものは片付ける程度のことできますよ?あぁ、いい子な短刀と仕事すらまともに一人でできないあなたと比べるのも烏滸がましいですよね。なんで審神者になったんですか?」

はぁ、と重々しいため息を吐いてこちらを睨みつける少年…堀川国広。他本丸の堀川と同じく和泉守兼定の相棒で助手を名乗る、見目愛らしい少年の口から出る言葉はかなり辛辣だ。顕現し、名乗りを上げたその後にはもうこの態度だったのだから筋金入りの個体差なのだろう。

堀川と関わりのあった新撰組の刀剣たちや、彼の兄弟刀にあたる刀剣たちはこの堀川の様子を見ると慌てふためく。なにがあったのか、熱はないのか、と聞く周りに対し堀川は「僕主さんみたいな人すごく嫌いみたいなんだ!みんなのことは大好きだし、この態度は気にしなくていいよ」と輝かしい笑顔で言い放った。周りの奴らは顔を引きつらせながら俺の肩を軽く叩き、どんまいとだけ言って逃げていった。


「どんだけやっても減らない書類が悪い。つーかまだじじいも狐もいねーのに、新ステとか新刀剣とかまじ仕事増やさないでほしい」
「人のせいにするなんて最低ですね。主さん、夕餉に呼びにくるまでにそれが終わってなかったら夕餉抜きですからね。燭台切さんにはそう伝えておきますので、せいぜい今日は書類に追われながら執務室を片付けてくださいね」

にこりともせずにそう言い放つ堀川。俺はこの美しい刀の笑顔なんて見たことはないけれど、それはきっとこの本丸の誰より目を惹かれるものなのだと思う。まぁ、堀川以外にはバレバレだけど堀川に俺はベタ惚れなわけで…。他の奴なんて比べようにないほど堀川がキラキラして見えるんだけどな。

「んー、堀川がなんかしてくれるなら頑張るんだけどなぁ」
「はぁ、何ふざけたこと言ってるんですか?頑張るも何もそれはこの本丸の主であるあなたの仕事でしょう?あなたが仕事をしなければこの本丸は機能しません、それすらも忘れましたか…もう救いようがないですね」
「知ってるけどさ、ほら、人間ってやらなきゃいけないものほどやりたくなくなるものじゃない?だから堀川がご褒美くれたらやる気がでて、頑張れるんだけどなー」
「…そういう台詞はあなたのことが好きでたまらない清光くんとか、長谷部さんに言えばどうですか。僕はあなたを調子にのらせたいと思ってませんから」
「ふぅん、ざーんねん。俺はこの本丸の誰より、堀川のこと好きなのになー。堀川は兼さんと兄弟のことしか頭にないもんなー」
「勝手に言っててください。僕はあなたと違って他に仕事があるのでもう行きますね。仕事、早く終わらせてくださいね」

それだけいうと、堀川は俺をうんと蔑んだ目で睨みながら執務室を出て行った。ぱたぱたと可愛らしい音を立てこの部屋から離れていくのを確認してから、俺は散らばっている書類も気にせず畳の上に悶える。

なに、あの子かわいすぎか!




2016/01/28 21:46(0)


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