S.O.S. H-01 type-K -PI(4) Kはメカニックルームで斉藤と対峙していた。 斉藤は、少し困ったような顔をしていたが、まあ、出来なくはないよと言う。 小さな声をしているが、type-Kの聴覚は、人と違って感度を自由に設定できるため、今は普通に聞き取れる程度まで聴覚設定を上げていた。 「恐らく、呼吸の問題なんだろうと思う」 「君は喋っている時には一応呼吸と同じ、酸素の出し入れをしているよ。 君の外観は生体部分であるから酸素を必要としているし。 まあそれでも、パーツとして交換可能な部分でもあるから、人と違って必要最低限の酸素があれば、維持できる程度のものだしね。 常時呼吸する必要は全く無いんだけど」 「喋っている時だけでなく、常時人は呼吸している。 バーナビーにはそれが非常に違和感として感じられたようだ。 彼のために必要だと思う」 「うーん、確かに一応、肺に接続できるよう、呼吸器官が内部に作られているとは思うが、現時点君の中身はH−01というアンドロイドなわけで。 こうなると僕には専門外なんだよね・・・。Xラボに行くかい? 僕も付き添うけど」 「お願いしたい」 そこまで、・・・と、斉藤はため息をつき、じゃ、明日にでも手配しておくからという。 それから。 「ねえ、K、君は、バーナビーを愛しているのかい?」 「愛とはなにか」 Kがそう聞き返してきたので、斉藤は曖昧な笑みを浮かべる。 「バーナビーが好きかい?」 「好き。 大切かという意味なら、マスターは非常に大切な存在だ」 「・・・・・・」 斉藤は再びため息をついた。 Kはカラーリングを少し変えられただけの、ワイルドタイガーのスーツを纏い、バーナビーの横に立った。 タイガー&バーナビーは永久に不滅です。 そういったキャッチコピーで、アポロンメディアは二人を売り出し、実際バーナビーが落ち込むことに、Kは非常に優秀だった。 時間制限もなく、無限に、身体強化系N.E.X.T.を軽く凌駕するパワーを発揮する。 自分たちヒーローを襲った初期型のH−01には、飛行能力が取り付けられていたが、Kからは取り外されていた。 「虎徹と言う人間をよりいっそうリアルに再現するために、そういった兵器としての特色の強い装備は、全て不採用とされた。 当然だろう」 Kは淡々とそう答える。 最初は、Xラボが製造した、初期型と同じような戦闘力の高い装備がKには支給されてきたが、斉藤が全て却下したのだ。 「君はヒーローであって、戦闘兵器ではない。 こんな破壊力のあるレーザーライフルなんか必要ないだろう」 そういって取り上げたKの銃は、虎徹を痛めつけた、あのレーザーライフルそのものだった。 バーナビーは衝動的にそれを真っ二つにしたい欲求に駆られたが、斉藤が「何かの役にたつかもしれないから」といって厳重にメカニックルームの保存室に仕舞い込んでしまった。 Kは献身的にバーナビーに尽くした。 明らかにKは、他のどんなヒーローたちよりも優れたパワーを持ち、しかも疲れを知らなかった。 当然だろう。彼は人間ではなく機械なのだから。 そして、恐るべき物理的パワーと能力に、感性が伴っていなかった。 特に、救助活動となるとそのパワーが仇になり、下手に手を出せずバーナビーの手を待つことが多く、もっぱら補佐に回るしかなかったのだ。 機械には人を超えることは出来ない。 一緒にKと活動して1年、バーナビーの出した結論はそれだった。 [mokuji] [しおりを挟む] Site Top |