文|log
閑雲野鶴(慶幸)
「さて、と…そろそろ行くかな」 そういって慶次殿は腰を上げた。 その様子をじっと眺めていたら、思わず詮無きことをきいてしまった。 「…次は何時会えるのですか?」 慶次殿は顎に手をあてて目線を逸らす。 「さあ、な…」 無性にもの悲しい気分になる。 彼にとって自分は無数にある依り所のひとつでしかないのだ。 夕焼けに染まる視界の端を、雁が飛び去って行く。
そうだ。 彼とは違うのだ、私は。 悠々と空を飛ぶ鳥にはなれず、ただ汚れた地面を這うのみだ。
××× 閑雲野鶴は悠々自適して、何も束縛を受けない境遇。
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