文|log 笑顔でいてくれると嬉しい(次富) 作兵衛はとても表情豊かだ。 怒ったり、泣いたり、拗ねたり、慌てたり、困ったり。見てるとほんとに飽きない。俺はそんな作兵衛の側でいろいろな顔を見ていたいと思う。 さて、それにしても、作兵衛と左門はどこだ? あいつら、すぐにいなくなるんだよな。 「三之助!」 後ろの方から声が飛んでくる。作兵衛だ。作兵衛はこういうときに一番始めに戻ってくる。そうそう、このときの作兵衛はおっかない顔をしてる。そして俺は、鋭い声で叱り付けられるんだ。 「またお前は!待ってろって言ったろうが!」 結構長いんだ、これ。なんで叱られてるのか分からないけど、作兵衛の顔を見ると何も言えない。 なんだかさ、俺を見つけたとき、一瞬泣きそうな顔するんだ。すぐそれはあのおっかない怒った顔に変わるんだけど。よく見ると、安心してるんだ。 「ごめん」 ちゃんと、謝る。そうすると、作兵衛は苦笑する。 「馬鹿、次からは気をつけろよ」 帰ろうって差し出された右手を握ると、温かい温度が伝わってくる。顔を上げて作兵衛の顔を見る。 うん、やっぱり、作兵衛は笑った顔が一番良い。 |