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等しく朝はやってこないと知っている(竹くく)

 すきだ。
 あいしてる。
 
 惜しみ無く口にする事ができるのは、今、俺達が生きてるからだ。腕の中の温もりが、泣きたいほどに肌に染みる。ぎゅうっと後ろから思い切り抱きしめて、また、口を開く。

 兵助、すきだ。

 くすぐったいよ、と身をよじりながら、兵助がはにかむ。

「恥ずかしいだろ」

 照れ隠しに放たれた言葉に、また心の中の気持ちが押さえ切れずに溢れ出す。じいんと染みとおるようなそれに、胸が詰まって苦しい。
 柔らかく流れる黒髪に顔を埋める。駄々をこねる幼子のようだ、と自分でもみっともなく感じるけれど、そんなことより今は、腕の中の温もりを離したくない。

「どうしたんだよ」

 兵助は、憤る子供をあやすように、ぽんぽんと頭を撫ぜた。 

 あいしてる、それだけじゃ足りないけど、他に伝える言葉が見当たらない。いや、本当はどんな言葉だっていいのかもしれない。この気持ちを伝えるには、特別な言葉なんていらない。
 言わなくちゃ、伝えなくちゃ、どうか届いて欲しいんだ。 

×××
スピッツのつぐみをヘビロテしてたらできたものです。
まさにやおいなので没になりました。
 



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