文|log 恋する動詞111題 5 諦める 没案(丕→趙) ※殺伐注意 ――諦めろ。あれは絶対に屈服しない。 諌める言葉が正論だと分かっていた。 苛立ちのままに乱暴に、牢の格子を開け放つ。 とたんに激しく身体を刺す殺気。 まったく怯まず近づいて見下ろせば、鋭く視線がぶつかった。 くったりと力の抜けた体は牢の壁にもたれ掛かり、目線だけをこちらへ遣る趙雲は、まったく顔色も変えない。能面のような面。垂れ流す殺気だけで強く私を拒絶している。 沸き上がる苛立ちのままに腕を振り下ろした。 右手がじんと痛む。 打った頬が赤く染まり、ばさりと前髪がその表情を覆った。 ゆっくりと、緩慢な動きで顔が上がり、にい、と趙雲の口角が吊り上がる。 「…諦めろ」 凄惨な笑みを浮かべ、趙雲は叫ぶ。 「私は貴様のものにはならない!」 ××× 丕様は愛し方を知らないだけ。 無理矢理→拒絶される→怒→無理矢理の悪循環です。 |