星 の 戯 れ
`I love you' that I could`nt say.
知りたいんだ




手のひらの中にある飴玉。

透明なセロファンから色んな色の球体が、僅かな光にキラキラ反射する。




「支葵、それどうしたの?」




食べずに手のひらにあるそれを眺めていると、莉磨が不思議に思ったのか尋ねてきた。




「もらった。」


「ふーん、誰に?」


「………知らない。」




そうだ、そういえば何にも知らない。
名前も、学年も、どうしていつも空を見ているのかも。

莉磨はオレの返答も飴玉も訝しがったけれど、それ以上は何も聞いてこなかった。



結局その後も授業はうわの空。
一条さんにも心配されたけど、テキトーにごまかして部屋に帰った。



あの時、やけに明るい月明かりに照らされたあの人の顔が、頭から離れない。


いつも見ていたアーモンド色の瞳が優しく細められて、唇が弧を描く。
あの一瞬、オレは空気が緩やかに流れるのを感じた。


ただのニンゲンなのに…。




知りたいんだ、何故か。






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