星 の 戯 れ
`I love you' that I could`nt say.
この距離が




あのグレーの瞳と視線が合わさると、どうしても逃げられない気持ちになる。


夜間部の彼と偶然喫茶店で出くわした後、すぐに一緒に来た友達が戻ってきた。
たくさん荷物を抱えた彼女を手伝って、店を出ると、興奮したように話し出した。




「ね!さっきあの喫茶店にいたの夜間部の人でしょ!?やっぱりすっごく綺麗だったわよね〜、確かあの2人はモデルをやってるのよ。あーツいてるわ!」




なるほど、一緒にいた女の子も確かに人形みたいな可愛らしさだった。

おかげで、わたしに気付いてくれた喜びとか会釈してくれた嬉しさも一瞬でかき消されてしまう。



太陽が出ている時間に会う彼は、知らない人のように思えた。


夜間部、モデル、隣を歩く綺麗な女の子。


とても遠い。


考えてみれば、なんてことない普通科のわたしと、夜間部の彼との接点なんてありえないハズなんだ。遠いのが、当たり前。だけれど、夜空の下での逢瀬はいつの間にかわたしに夢を見せていた。





そろそろ現実に戻らなきゃ、そう思った。


完全に溺れる前で良かった。憧れや興味だけで、夢として終わらせることが出来て、きっといい思い出として昇華できる。そう思った。





………はず、なのに。




「ねえ。」




やっぱりわたしは外に出ることをやめられなくて、今夜もどこかで彼に会うことを期待してしまう。

その上どうしてか、いつものようにやってきた彼がわたしに声をかけるから、結局わたしは全て忘れて、再びこの夢のような時間に身を委ねてしまったのだ。






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