Chapter 3
ロダの大市における聖ヴェリカ教会司祭の毒殺事件は、その状況から、司祭の他では唯一聖具に触れることのできる助祭の手によるものとして処理された。この一件により、聖ヴェリカ教会の司祭職に空隙が生じる。その間、帝国国教会はロダ市への仲介役として教皇派筆頭のヴェッターグレン家を指名。大市の開催期間が終わらぬうちに、ヴェッターグレン家を通し、帝国国教会はロダ市参事会へ文書を提出する。そこに提示されていた文言の要旨はふたつ。ひとつはロダへのフィアナ騎士団の駐留を認めること。そして、もうひとつ。新たに付け加えられた項目は、ロダの塩鉱の所有権の帝国国教会への譲渡。アンスガル・ヴェッターグレンが携えてきた文書に、採鉱都市の根幹を手放すよう求められた市参事会は動揺する。
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