短編 | ナノ

 03

そんな二人は、友達で喧嘩仲間だった。たまにお互い協力して、不良達と喧嘩する。


ただ、それだけだった。


だが、喧嘩を売ってはいけない相手と喧嘩をしてしまう。些細な喧嘩だった。たまたま二人で居た所を2、3人で襲撃され、返り打ちにした。それが、この辺一帯を仕切るグループの幹部だとは知らず……。

それを慕っていたメンバーが30人ほど……。


二人をリンチにしようと街外れの廃墟に呼び出したが、逆にピンチに陥っていた。


残っているのは、半数。


どう戦う? とお互い顔を見合わせていた。


そのとき――……廃墟の後ろでポツポツと人影が、見えた。


イチルがいち早くそれに気づく。


「なぁ、ヒロキ」
「んー」
「……いま、記憶喪失になりてぇわ」
「階段から落ちればなれるかもなあ」


ヒロキは、のんびりとした口調で返したが、声音には諦めも混じっていた。ヒロキもそれに気づいた。


「お、おい……あれって!?」


そして、不良達も気づく。
大勢の少年達が廃墟に近づいて来ることに。


「応援だぁぁああ――――!!」


一人の不良が歓喜の声を上げる。
その喜びは、ジワジワと不良達に伝わり、大きな歓声となって廃墟を揺らした。


「……ガチで?」
「……ガチでぇ」


ははは……と乾いた声を二人はもらす。





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