◎ 03
そんな二人は、友達で喧嘩仲間だった。たまにお互い協力して、不良達と喧嘩する。
ただ、それだけだった。
だが、喧嘩を売ってはいけない相手と喧嘩をしてしまう。些細な喧嘩だった。たまたま二人で居た所を2、3人で襲撃され、返り打ちにした。それが、この辺一帯を仕切るグループの幹部だとは知らず……。
それを慕っていたメンバーが30人ほど……。
二人をリンチにしようと街外れの廃墟に呼び出したが、逆にピンチに陥っていた。
残っているのは、半数。
どう戦う? とお互い顔を見合わせていた。
そのとき――……廃墟の後ろでポツポツと人影が、見えた。
イチルがいち早くそれに気づく。
「なぁ、ヒロキ」
「んー」
「……いま、記憶喪失になりてぇわ」
「階段から落ちればなれるかもなあ」
ヒロキは、のんびりとした口調で返したが、声音には諦めも混じっていた。ヒロキもそれに気づいた。
「お、おい……あれって!?」
そして、不良達も気づく。
大勢の少年達が廃墟に近づいて来ることに。
「応援だぁぁああ――――!!」
一人の不良が歓喜の声を上げる。
その喜びは、ジワジワと不良達に伝わり、大きな歓声となって廃墟を揺らした。
「……ガチで?」
「……ガチでぇ」
ははは……と乾いた声を二人はもらす。
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