短編 | ナノ

 04



大勢の少年達は、大小少なかれ、二人に恨みを持っている者達だった。
廃墟にいた不良の一人がここまでは分が悪いと、応援を頼んだ結果。
情報が人を渡り、約50人前後の不良達が集まった。


カラフルな頭の不良達。手には各種色々な武器―――……メリケンサックから始まり、定番の鉄パイプ、木刀、模造品であって欲しい……腰に真剣を提げている者もいた。銃刀法違反どこに行った? 果てにはクマノテやトイレで使うきゅっぽんまで持っている者。どうやって使うんだ。アホか。


「たった二人のために……不良って暇なんだな」


イチルは自嘲気味にそう呟いた。そして、ヒロキはベタフラッシュを浴びながら、深刻な顔で馬鹿らしいことを言う。


「あたし、最後の晩餐が……昼のコッペパンだ……」
「俺は、和食。やべえ、良い人生って言えねえ……」


イチルはいつもなら「昼って晩餐じゃねえよ」とか突っ込むのだが、さすがにその余裕はない。さすがに、たった二人で50人に立ち向かうのは、分が悪い。悪過ぎる。ただ、こうなったらどう足掻いても、逃げられない。周りは不良。退路は、ない。ヒロキはイチルだけに聞こえる声で、言う。


「―――……イチル、どうにかするしかねえぜ」
「分かってる」


どうにかしなければならない。喧嘩で、殺されはしないだろうが、この人数だと歯止めが利かなくなり、誤ってどちらかに死人が出るまで喧嘩を続けることになるかもしれない。それだけは避けたい。しかし、もう、歯止めがきかない事態だ。


二人は空を仰ぎ見た。鉛色の曇天が広がっている。そのうち、雨が降り出すだろう。


ふっと、小さく風が吹いた時、二人は、考えるのをやめた。



にっと、二人は示し合わせたわけでもなく、同時に笑った。



こんな追い詰められた状況で……!? 不良達はジリッと、一歩後ろに下がる。たった二人に蹴落とされ、慄いていた。


「ま、やるしかねえよな」
「だよなあ」



は、とイチルは軽く息を吐く。
ふん、とヒロキは鼻を鳴らす。



「いっちょやりますかぁ!」
「あぁ。まあ、お互い肋骨一本は覚悟しとこうぜ」


そう言い、二人は地面を蹴って目の前の不良達に向かって行った―――……。



***END***


イベントに出そうと思って名前が思いつかずの二人です。
設定が今日も〜とまったく違うのでこっちに収納しました。


2011/12/10 騎亜羅



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