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「――すまないな、わざわざ出向いてもらって」
「なんてことない。友を祝すのに手間を惜しむ奴がいるか」
「ありがとう。感謝する」

ニコリともしないカズマだが、言葉は本心から言っていると分かる。――なぜ、一国の王子が、城に勤める一介の武官と会っているかと言うと(知り合った経緯は割愛させていただく)、俺が結婚をし、彼の奥方が「お祝いに行きましょう」と言い出したからだ。妻関係で、迷惑ばかりかけているのに彼の奥方は優しい人で「カヤさんともっと話したいんです」と言ったとか。天使かあなたは。


そう言ったわけで、カズマとリン王妃がお忍びで、わざわざ遠い最果ての国の城に来ていた。なぜ城で会っているかと言うと、俺と妻が住んでいるのは城内の既婚者たちが住む官舎のためだ。アヤメ女王の尊大な計らいで、今日は立派な客室を用意してもらい、二人と対面していた。四人で色んな積る話をすればいいわ、と悔しそうに言っていたアヤメ女王の顔が浮かぶ。


『私もカズマ殿下とリンちゃんには会いたかったのに!どうして仕事は山積みなわけ?』
『貴女様がサボったせいですよ』
『……美嶺、ちょっとな『ダメです』っケチっ!』


 女王のことだ。様子くらい抜け出して見にくるかもしれない。


経緯をなぞり終えたところで、カズマに「今日はゆっくりして行ってくれ」と言った瞬間。



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