夜を迷える子羊 | ナノ


  06



「え?」
「なんかあってフラフラ町に出て来たんだろ? お前の歳のやつらなんてな、俺は10年以上面倒見てきてるんだ。大体それぐらい検討つく。そこの村崎もだ」


童顔警察官は顎をしゃくり、男を見る。


「あははーその節はどうもー?」
「あははじゃねぇよ! 連日連夜騒ぎやがって……今の仕事も誰が世話してやったと思ってる!」
「おまわりさんでーす。マジで感謝してます!」


男はふにゃっと笑い感謝しているとは思えない緩い口調で「ホントありがとー!」と無邪気に言う。童顔警察官は男の調子に頭を抱えたが、ため息をついて少女へと意識を移した。


「昔、俺が不良だったって話しただろ?」
「クソDQNネーム持ってたって話だっけ」
「あぁ、ぶらっくおぶれ――「ぎゃああああ!! それは口に出すな!」


童顔警察官は男の言葉を遮り、和泉と九重を合わせて睨む。


「……そ、それはともかくだ! 誰だって思春期やら反抗期はあるもんだ。それは元ヤンの俺が説教垂れたって寝耳に水だろ。お前の"抱えてる問題"は俺が怒って解決するのか? 俺が怒っても、もっとふて腐れてどうにもならなくなるんじゃないのか? 親に話せないなら、友達でも誰でもいい。悩みを話せるやつはいねぇのかよ? 吐き出せるなら吐き出した方が良い。俺や村崎でも良いんだぜ?」


童顔警察官の頼りになる言葉に和泉はすべて話してしまいそうになる。だが、唇は一度開いて、再度真一文字に結ばれた。


知り合いである童顔警察官に自分の悩みが知れたら、必然的に両親に伝わり――両親はなんとかしようとするだろう。すると、両親に負担がかかる。


ただでさえ両親は忙しいのに、ワガママなんて言ってられない。


自分が我慢すればいい。別に大丈夫だし、今日は少し疲れただけだ。明日からまた頑張れば良い――。


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