03
ただ、男は自分が道を教えてもアブナイ人たちに捕まって何かヤラシイことを強要されたら……と思うと目の前の少女が心配でならなかった……少女にとっては自分もアブナイ人たちに入っているようだけど。
「そーだなー……じゃあ、財布預けるからさ、信用してよ?」
「くれるんだ? わーい」
「……君んち貧乏なんだね……」
「わーい」
「ぼ、棒読みじゃあげないから!」
「……援交斡旋野郎」
「……毒吐くの止めてくれますかー……」
男は和泉にちっと舌打ちをされ、複雑な気分になる。善意が薄れた時代だ……としみじみ思った。
「はぁ。ホスト馬鹿っぽいし、信用してやるよ」
「なんで上から! 君、中学生でしょー!」
「精神年齢的にはホストより上だと思うよ」
和泉はドヤ顔で言い、男は立つ瀬が無くなる。口で相手するのもなんだ、と思い和泉を交番まで案内することにした。
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