87 またまた合宿です
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「ゆか、こっち!」
「はーい!」
「こっちも!」
「ちょっと待ってー!」


えーとですね、あたしが今なにをしているのかと言いますと景吾君にいきなりお呼び出しをくらったかと思えば前回に引き続きマネージャー業をさせられています。普通に私服で呼ばれた場所に行けば、テニス部のジャージを着た景吾君と馨たちが乗ってたのと同じような真っ黒なリムジンがあって。行くぞと言われてわけも分からぬまま連れて来られたのがここだったわけで。目の前にはこれまた前回と同じメンバーが揃ってて。まあ色々と説明をされて、今に至るわけです。

どうしてあたしが特に文句も言わずにマネ業をしているかと言いますと、ぶっちゃけ暇だったし(ホスト部の皆は只今海外旅行中で部活はお休み)(ハルヒがそれを聞いたとき「ずっと行ってて下さい」なんて言ったときは驚いたけど)少年達が頑張って青春をしてる姿を見てやろうかと…。だってはっきり言ってみんな格好いいし?(結局はミーハーだし、あたし)


「ゆか!」
「すぐ行くー!」


ですが思ったりというか前回より大分大変です。コートは氷帝、青学、立海、山吹の順で分かれてて氷帝と山吹の距離は結構あって、走っていくだけで普段運動不足のあたしには結構きつい。


「はい、どうぞ」
「ありがとう」
「はあ…やっと配り終わった」
「ずっと走り回ってたもんね、ゆかちゃん」


氷帝からドリンクとタオルを配っていって、最後が山吹。南君たちに続いて仁とキヨ君に渡して、はあと一息つくと、キヨ君が話しかけてきた。確かに、キヨ君の言うとおりずっと走り回ってた気がするなあ…。


「キヨ君たちはあまり呼ばないから助かったよ…」
「あはは」


いやね?笑ってるけどあたしには結構きつかったんだよキヨ君。英二なんか用もないくせに呼ぶからあたしはヘトヘトだよ。ちょっと休憩させてもらおう、と仁が座っているベンチに座る。するとキヨ君まで座ってきて、あたしは仁とキヨ君に挟まれてる状態。


「うう、疲れた」
「だらしねえ」
「だって普段あたし動く事ないもん…」
「んなもんで疲れるのはお前くらいだ」
「だったら仁も走り回ってみなよー、ほんっと疲れるんだから」
「ハッ、誰がそんなんで疲れるか」
「…(コイツ)」


何だその笑いは。こいつらは一体あたしを何だと思ってるんだ。こんなに動き回ったら普通の女の子は疲れるよ。でも仁の言う事も一理あるんだよなあ。また今度英二でも誘ってテニス教えてもらおうかな。(お腹らへんのお肉さんたちともおさらばしないと)んん、と背筋を伸ばすために腕を上に引っ張る。


「よし、じゃあ練習頑張ってね」
「どこ行くの?」
「あたし夕食の準備してくるね」
「もう?もう少し休んだら?」
「ありがと、キヨ君。でも早く作らないと間に合わないから」


あたしにそんな言葉をかけてくれるなんてキヨ君って本当に優しい。これは女の子達がなびくのも分かるかな。(なびくなんて言う言い方はよくないか)仁も見習いなさいよね、と言う意味を込めて視線を向けると気づいたのかふいと顔を背けられました。何だその反応は!(でもなんかちょっと可愛いと思ってしまったあたしもなんだ!)






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