95 おやすみなさい
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「…なにしてるの?」
「…」


あれから赤也と少しだけお散歩をして、広間に帰ってきた瞬間に広がった光景に仁に尋ねてみた。そしたら俺に聞くなとばかりに顔を背けられました。


「…」


なんとまあ、すごい光景ですな。なんだか盛り上がってるメンバーは枕投げが未だに続行していて、もうすでにお疲れのメンバーは夢の中に入っていました。枕が時々顔の上に落ちてるのがなんとも痛ましいのですが…。そしてキヨ君が「あくつもやろうよ!」と仁を引っ張ってるけど全て無視されてます。いやね、こういうの嫌いだって分かってるけど無視はやめてあげようよ仁…。


「秀くん、リョーマ預かってくれてありがとう」
「もうねてますよ」


そう言いながら渡してきたリョーマをみると、寝てからだいぶ時間が経ってるようでぐっすり寝ておられました。秀くんにありがとね、と言うと「だいじょうぶです」と笑顔で返ってきた。それでしばらくぼーっとみんなを眺めているとだんだん睡魔がやってきたのかみんながうとうとし始めた。そして数分後にはみんなぱたんと倒れる。


「…なんかお子様パワーってすさまじいね」
「…」


嵐が来たようだったな、なんか。バラバラに寝てしまったみんなの一人一人に布団を掛けなおしてあげていると凄く可愛らしい寝顔が視界に入ってきた。…やばいでしょこれは。もう本当に、何度も言ってるけど(心の中でも何度も言ってるけど)みんな可愛すぎじゃありませんかね…!そんなことを思いながらみんなを見まわしていると、仁から冷たい視線をいただきました。だって仕方ないよみんな可愛いんだもん。


「仁はどこで寝るの?」
「…向こうで寝る」
「じゃああたしもそっち行こっと」
「…は?」


部屋の端っこのほうを指さしながら言う仁を見て、あたしも自分の布団をもって(というか引きずって)そっちへと移動する。あたしも〜と言った時に仁が「なに言ってんだこいつ」的な視線を向けてきましたよ。


「だってリョーマ潰れちゃいそうじゃん」
「…」


あれ見てよ、と言って差した先にあるのはちっちゃくなっちゃったみんなで。それぞれが寝相が悪いのか(それともこの姿になって悪くなってしまったのか)ごろごろ寝がえりをうってる。あの状態の中にリョーマを寝かせたらまもなく潰されちゃうよね。そう言うと仁は黙って布団を運び始めた。


「よし、じゃああたしらも寝よっか」
「…ああ」
「あ、やっぱりちょっと待って」


布団を二つ並べて、間にリョーマをはさむ。これでよし、と思ったけどよくよく考えてみたら仁も寝相そんなに良くなかったような気がする。そう思ってやっぱりリョーマを一番端っこにして、あたしが真ん中に入る。(仁が真ん中でもいいんだけどね、絶対嫌がるから)


「…なにやってんだよ」
「だって仁も寝相悪いよね?」


そんなあたしの思いは知らないみたいで。なにやってんだよと聞いてきた仁に答える。だって前一緒の布団だった時あたしの頭に仁の手がのってたじゃん、それこそリョーマ潰れちゃうよ。そう言うとなんだか納得してないような顔をしてたけど、おやすみ〜と言ってさきに寝てやりました。


ぽん、という衝撃が頭に来たのはあたしの意識がもうほとんど夢の中のときで、やっぱり仁って優しいんだよなあって思いました。






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