94 機嫌、なおる
bookmark





「(んー…本当にどうしようかなあ…)」


抱っこしてるから逃げたりはしないんだけど、広間を出てからずっと赤也はだんまりです。とりあえずここは景吾くんの練習場兼別荘なので広い。だから当てもなく歩いてるんだけどそろそろ無言も気まずくなってきました。


「赤也」
「…」
「まだ怒ってる?」
「…おこってないっす」


怒ってるじゃん。むっすーとした表情であたしから顔を背けて言う赤也にそう思う。んー、結構リアルに怒ってらっしゃる。そんな赤也には悪いんだけど顔を向こうに向けてあたしの肩に頬をぺたっとつけてるのって凄く可愛いんですけど。


「ねえ、赤也」
「…なんすか」
「赤也とお風呂に入るのが嫌だったわけじゃないんだよ?」


そう言うと「じゃあなんなんすか」と不機嫌そうな声が聞こえた。うーん、どう言ったら分かってくれるかなあ。


「赤也ってお姉さんがいるよね」
「…いるっすけど」
「じゃあさ、お姉さんが例えば雅治とお風呂に入ったらどうする?」


雅治が今の状態だと考えて。そう言うと赤也はすごく嫌そうに「…さいあく」と呟いた。赤也がそう思うのと同じで、たぶんじゅんもそう思うんだよね。あたしだってじゅんがハルヒとお風呂に入ったなんて聞いたらすっごく嫌だし、だから仕方なかったんだよ。それを伝えると赤也は黙ってしまった。


「赤也はじゅんと仲いいでしょ?だから…」
「…もういいっす」
「へ?」
「いいっす」


…あれ?いつの間に機嫌直ったのこの子。それよりもうちょっとさんぽしましょうよ!と笑顔で言う赤也に首をかしげるばかりだったけど、まあいっか。不機嫌が治ったならあたしとしては嬉しいし。


「赤也」
「なんすか?」
「またうちに遊びにおいでね」


そう言うと元気に「はいっ!」と返事が返ってきた。うん、やっぱり赤也は元気なほうが可愛いよ。ぎゅ、と首に抱きついてきた赤也の頭をなでてあげると、へへっと照れ笑いのような声が聞こえた。うーん、可愛い。



***
赤也ってお姉ちゃんいたっけ…?まあいいや(笑)



prev|next

[戻る]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -