双子のはなし



双子って不思議よね

元はひとつだったのに、偶然なんだか必然なんだか策略なんだかでふたりになるんだから

ふたりはひとつだったのよね。もしかしたら1人のままだったかもしれないなのに、2人になったのよ。本当に不思議

ふたりはひとつだったけど、2人で産まれてきたんだからもうふたりは2人でしかないわ

どんなに頑張ったって引っ付いたって、もうひとつには戻れない。れっきとしたひとつの個体になったわけだから、ふたりは2人にしかなれないのよね

でも、でもね。同じ卵でひとつの子宮を共有して少しの時間差はあるけど同じ時に産まれたんだから、誰よりも近しい存在って言えると思わない?だったらテレパシーとまでは行かなくても、以心伝心とか意思疎通とか同調とかできるんじゃない?




懇々と、語り出した母親は、期待に満ち溢れた目をして自分の子どもを見た。ね?と首を傾げる姿は10になる2児の母には見えなかった。


「………ね?って言われても」
「………無理だろ」


双子は普段は割としっかりした母親の突飛な発言に呆れていた。けれども、それが初めてな訳ではなかったから、またか、と内心ため息を吐いていた。


「ええ?そんなぁ!双子固有の不思議があるんじゃない?」
「ないない」
「テレビの見過ぎだよ、母さん」


諦めない母親にふたり揃って首を振った。


双子のはなし


「2人とも夢がないわ!」
「「母さんは夢見過ぎ」」




20101017


ススム モクジ モドル



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -