夢の中の裸エプロン[3]
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トシさんが私の身体を反転させ、背後から覆い被さってくる。
私はドアに手をつき、有無を言わせない力にされるがまま、腰を突き出す格好を取らされた。
恥ずかしいのに、埋め込まれる熱を期待してしまう自分がいて。

「トシさん……っ」

早く欲しいと肩越しに振り返れば、トシさんが短く息を飲んだ。

「くそ…っ、お前は…!」

掠れた声と共にベルトを外す金属音が聞こえ、すぐさま熱が宛てがわれた。
大きくなった欲望を擦り付けられ、蜜が止めどなく溢れ出す。
そのままトシさんが入口を割り、ぐ、と中に押し入ってきた。

「あああっ、あ、ひぁ…っ、あ、」

熱く滾ったものが中を掻き分けて奥へと進み、内壁を擦っていく。
あまりの大きさと熱さに眩暈がしそうだった。

「トシさ…っ、ああっ、あぅ…ん、」

最初から勢い良く最奥を穿たれ、子宮までもを突き上げられるような錯覚を起こす。
限界まで引き抜かれてはまた押し込まれ、敏感な中を熱量が何度も往復した。

「…く、……ナマエ……っ、」

耳元に掛かる、トシさんの低い呻き声。
吹き込まれる吐息は熱く、激しかった。
トシさんの両手が私の腰を掴み、大きく揺さぶる。
その度に肌がぶつかり合い、濡れて卑猥な音を立てた。

「ひゃあ、あ、ああっ、も…っ、だめ、」

先ほど指で寸前まで高められていた身体はすぐさま頂上へと昇り詰め、激しい収縮を繰り返す。

「だめ、だめ…っ、あ、あっ、いっちゃ……!」
「く……ぅ、……ナマエ…っ」

最後に大きく突き上げられ、広がった熱を感じると共に一瞬で頂上から堕ちた。


「……は、…あぁ………ん、」

全身が弛緩し、ドアに縋りついたまま身体が崩れ落ちる。
寸前でトシさんが私の下に脚を押し込み、私はその上に座り込んだ。
背後にあるトシさんの胸元に凭れ掛かれば、耳元を荒い呼吸が擽る。

「………悪かった、」

合間に零された言葉にゆっくりと振り返れば、その瞳から先ほどまでの激しい焔は消え去り、ばつの悪そうな顔だけがあった。




「それで、何があったんですか?」

案の定煮詰まってしまったスープをお湯で薄め、サラダやパスタと一緒にダイニングテーブルに並べる。
すでに椅子に座っていたトシさんは、気まずげに視線を泳がせた。

「あー……その、怒るなよ?」
「怒るような理由なんですか?」

聞き返せば、ああとかいやとか、どちらともつかない唸り声。
とりあえず聞いてみないことには始まらないと向かいの椅子に腰を下ろせば、トシさんはたっぷり十秒は沈黙してから、恐る恐るといった様子で話し始めた。

「その…な、今日の昼間、飯を食ったあとに少し転寝しちまってよ、」

そして、再びの沈黙。
それだけでは何も分からない。
黙って見つめたまま話の続きを待てば、トシさんはひとつ大きく舌打ちをして。

「夢ん中でっ、てめえがエロいことばっかり言いやがるから我慢出来なくなっちまったんだよ!」

その上エプロン着けたまま出迎えやがって。

トシさんはそう吐き捨てて、怒った口調とは裏腹に照れて真っ赤に染まった目元を隠そうと外方を向いた。

「……えっと、それはつまり、」

昼間に見た夢に私が出てきて、正確には分からないが、とりあえず何か…その、エッチなことを言われて、我慢出来なくなってしまった、と。
それで、仕事を切り上げて帰ってきた、と。
そういうこと?

「見んじゃねえよ馬鹿野郎」

ぽかんと見つめる視線の先、トシさんは顔を背けながらも横目で私を見ている。
染まった目の縁が、暴露された理由が、あまりに可愛らしくて。
私は堪えきれずに吹き出した。

「ナマエてめえ…っ、」

笑い続ける私の前で、トシさんがいきり立つ。
馬鹿にしているわけじゃない。
怒らせたいわけでもない。
だけど、笑いが止まらなくて。

「くそ…っ、言うんじゃなかった」

結局その発作は、立ち上がったトシさんに唇を塞がれるまで続いた。


ちなみにその後、機嫌を損ねたトシさんにリビングのソファへと押し倒され。
その件の夢の中と同じ台詞を全て言わされたのは、また別の話だ。





夢の中の裸エプロン
- それは全力で拒否しても許されると思うんだ -




あとがき


さや様へ

お待たせ致しました。玄関で致してしまう、余裕のない土方さんでございました。

この度はリクエスト受付の際にお手数をお掛けしてしまい、申し訳ありませんでした。頂いたリクエストにお応えしきれなかったこと、大変心苦しく感じております。
私の中で土方さんは、どれだけヘタレていても、どれだけ情けなくても、絶対にヒロインちゃんを裏切るような行為だけはしない人だと思っております。もちろん、他の女の子との絡みというのも、愛を確かめる上で素敵なスパイスだとは思うのですが、私には使えませんでした。融通の利かない書き手で申し訳ありません。
出来るだけ、罪悪感や後ろめたさが残る理由をつけてみようと尽力しましたが、最早ただのギャグにしかならなかったという…。枯渇した脳ではこれが限界でした。
当初のリクエストからは大幅に逸れてしまいましたが、お楽しみ頂ければ幸いです。

この度は、企画へのご参加誠にありがとうございました。




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