この熱が届く頃に[3]
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それは自業自得なんだが、濡れて鬱陶しく張り付くスーツとワイシャツ、下着まで全てを脱ぎ捨てた。

ナマエの脚を大きく開かせ、その間に顔を埋める。
流石に支えが足りねえだろうと、ナマエの腰をしっかり掴んで引き寄せた。

俺を受け入れる場所はすでに濡れそぼり、熱を求めて蠢いている。
舌と指を捩じ込んで馴染ませるのに、大した時間は掛からなかった。
普段ならばこのまま快楽に引き摺り込んで先に数回いかせてやるところだが、生憎今日は流石にそんな余裕がねえ。

俺はナマエの腰を引いて立たせ、そのまま壁に手をつかせた。
背後からその身体に覆い被さり、白い項や背中に唇を落とす。

「は…っ、ぁん…っ、あ、」

腰に手を回して少し引けば、壁に手をついて立つナマエが尻を突き出した。
恐らくは無意識なんだろうが、腰が厭らしく揺れてやがる。
割れ目に欲望を擦り付ければ、ナマエの腰が大きく跳ねた。

今すぐに、その中を蹂躙してやりてえ。
余すところなく、俺の熱を刻みつけてえ。
だが。

くそ、ゴムがねえ。

当たり前だ。
バスルームにそんなもんは用意してねえ。
俺はこれまで、避妊をせずにナマエを抱いたことはなかった。
お互いの準備が整わねえまま、無責任なことはしたくなかった。

だが、俺の想いはずっと変わらねえ。
こいつと所帯を持ち、こいつに俺の餓鬼を産んでもらいてえ。
それは、俺の夢だ。

「…は、……ぁ、トシさ…ぁん…っ」

そしてきっとこいつも、そう思ってくれている。
もう少し二人きりでいたい気もするが、俺とこいつの餓鬼ならいつだって大歓迎ってもんだろう。

後ろめたさも、罪悪感もなかった。
これは、雰囲気に流されて快楽だけを追った無責任な行為じゃねえ。
こいつと、いつか出来る餓鬼の人生をまとめて背負う覚悟だ。

「いくぞ、ナマエ…っ」

これ以上ないほど膨れ上がった怒張を、ナマエの中に埋め込んだ。

「ひゃああっ、ああ、ん…っ!」
「…く、…そ…っ、」

初めて、何の隔たりもなく感じるナマエの中心。
そこはあまりに熱く甘美で、俺の欲望をこれでもかと締め付けた。
全身が総毛立ち、腰に電流が走る。
腰を振る度に反響する淫靡な水音とナマエの喘ぎ声に、脳髄まで快楽に支配された。

「ひ、あああ、やぁ…っ、トシ、さ…!」

先に達することだけは避けてえと、ナマエの背に覆い被さって胸元に手を這わす。
立ち上がった頂を摘まんで捏ねれば、ナマエの嬌声が一段と艶を増した。

「きゃああっ、あ、だめ…っ、ああっ」

だがそれは、余計に締め付けを強める結果となり、俺に跳ね返ってきて。
搾り取られるようなうねりに、頭が真っ白になった。

「く、そ…っ、もたねえ…っ」

ただでさえ、久しぶりなのだ。
その上ナマエに直接触れている屹立が、そう長く耐えられるはずもなく。

「すまねえっ、ナマエ…!」

ナマエの華奢な腰を両手で抱え、欲望を激しく打ち付けた。

「あ、あ、ああっ、トシさ…っ、」

何度も呼ばれる名前に、全てが満たされていく。
次は、俺がナマエの中を全て満たしてえ。
俺で、いっぱいにしちまいてえんだ。

「……は、……っ、あ、」
「ひあああっ、あ、あ、いっちゃ、」

背筋を駆け上がる快楽に逆らえずに最奥を穿ち、ナマエの中に全てを吐き出した。
溢れた熱が、中に広がっていく。
初めての感覚に、ナマエが身体を震わせた。

「…悪い、大丈夫だったか、」

性急に繰り広げた激しい行為を振り返って、些かバツが悪くなる。
バスルームの床に座り込んだナマエは半ば放心状態で、ぐったりと壁に背中を預けていた。
慣れない体勢だったせいで、足に力が入らねえんだろう。
俺はシャワーを出し、手早くナマエの身体を清めた。
そのまま抱き上げ、とっくに湯の溜まった浴槽に入る。

「熱くねえか?」
「うん、」

俺の肩口に凭れ掛かるナマエに声を掛ければ、微かな返事が聞こえてきた。
甘えるように擦り寄ってくるナマエが愛おしくて、思わず笑みが漏れる。
今夜はこのまま寝室に雪崩れ込んで、ずっと抱き締めていよう、と。
そんなことを考えながら、俺はナマエの蟀谷に口付けた。



その時はまだ、知らなかった。
三ヶ月後に知らされる、大事な命の存在を。




この熱が届く頃に
- 生まれ出ずる愛の結晶 -



あとがき


敬子様

お待たせ致しました!!
20万HIT感謝企画の際に敬子様に頂いたリクエスト「この涙が乾く頃に」の番外編として、妊娠の原因となったラブシーンを書かせて頂きました。
ど……どうでしょうか。サイト内にて散々変態チックな裏をアップしておいて何を今更と思われるかもしれませんが、やはりリクエストで裏作品を捧げるのはかなり勇気のいることでして…(笑)。どの程度露骨な描写をして良いものか、判断に悩みつつの作品となりました。
あえて土方さん視点にして、「この涙が乾く頃に」で描き切れなかった、土方さんのヒロインちゃんに対する想いを赤裸々に語ってもらいました。いつもはする避妊をせず盛り上がった、というリクエストを頂いて、でもきっとこの作品の土方さんは場の流れだけで避妊を怠ったりはしない誠実な人だろうと思ったので、言い訳を挟みつつww
また、その盛り上がった理由については、仕事云々と書いてみましたが、結局のところ禁欲生活による欲求不満という、なんとも男の生理現象的な話になってしまってすみません(>_<)
お気に召して頂ければ幸いです。

二度目のリクエスト、ありがとうございました。また、正式な企画リクエストではありませんでしたが、以前敬子様が仰ってくれた「沖田さんも読んでみたい」というお言葉のおかげで、初の沖田さん夢を書くことも出来ました(拍手SSSという短編ではありますが…)。常に新しい挑戦のチャンスを与えて下さって、本当にありがとうございます。
4年目を迎えましたThe Eagle、これからもよろしくお願いします(^^)




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