絡み合う熱情[8]
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彼女の指先が胸元に降りかかった俺の残滓を掬い上げ、赤い舌で舐めとる。
その淫猥な所作に、視線を奪われた。
赤い花弁が散った胸元を垂れていく、白い欲望。
彼女が指をしゃぶるようにして、俺の残滓を取り込んでいく。
その様は、俺の下劣な支配欲を満たして尚余りあった。
その余分は愛おしさに擦り替わり、俺の胸を締め付ける。

「ナマエ…っ」

彼女の手首を掴んで抱き寄せ、濡れた唇を奪った。
吐き出された欲望の味は、決して美味とは言い難かった。
だが、一度彼女が口にしたのだと思えば嫌悪感など沸くはずもなかった。
このようなものを自ら舐めてくれた彼女に対する愛おしさは留まるところを知らずに溢れ返り、脳髄を甘く痺れさせる。
一通り舌を絡めてから唇を離せば、彼女は嬉しそうに笑った。
笑顔ひとつとっても、様々な表情がある。
昨日までは知らなかったことを、新しく知っていく。
それは、喜悦と呼ぶに相応しかった。

「ナマエ?」

不意に彼女が前屈みになり、何を、と問う暇さえ与えられず。
次の瞬間には彼女の唇が俺の下腹部に触れ、飛び散った白濁を丁寧に舐め取っていた。
彼女の舌は休むことなく俺の肌を清め、時折喉を鳴らす。
やがてその舌は俺の太腿に移動し、内腿や脚の付け根といった際どい部位をなぞった。

「く……っ、」

果てたばかりで敏感になった肌を擽られ、気がつけば俺の欲望は再び力を得て育ち始める。
立て続けに二度放っても尚衰えない勢いに、当の本人である俺自身が驚愕した。
このようなことも初めてだ。
彼女が相手だと、自分で知ったつもりになっていた己の姿が悉く打ち砕かれていく。
彼女だけが例外で、つまるところそれが特別だということなのだろう。

巧妙に昂りを避けて彼女の舌が双玉にかかった白濁を舐め取る頃には、俺の欲望は先刻と変わらぬ大きさにまで膨れ上がっていた。
先端から、先走りとも種子ともつかぬ液体が溢れ出す。
彼女は一度片手で髪を掻き上げてから、その先端に口づけた。

「ナマエ…」

手を伸ばし、俺自身を愛そうとしてくれる彼女の髪を撫でる。
彼女は体勢を変えて四つ這いになり、更に胸元をシーツに押し付けた。
肉付きの良い尻と華奢な腰が目の前で揺れ、見下ろせばそこには傷一つない新雪のような真白の背中。
俺の股の間に顔を埋めた彼女は、怒張の付け根に舌を押し付け、ゆっくりと先端目掛けて裏筋を舐め上げた。

「…は……っ、ぁ…」

髪を梳いていた手を止め、きつく握り締める。
そうしていないと、与えられる刺激に耐えられそうもなかった。
裏筋を幾度か往復した舌が今度は先端に当たり、鈴口に差し込まれる。
かと思えば脇から喰まれ、欲望は一層滾った。
今や腹に付きそうなほどに反り返り、天を仰いで震えていた。
根本が彼女の手に支えられ、熱い咥内が俺を迎え入れる。
窄めた唇は限界まで怒張を咥え込み、そのまま舌を絡めてきた。

「…ぅ……あ、…あ、」

唾液と先走りを溜め込んだ咥内に包み込まれ、そこは彼女の中と錯覚するほど気持ちが良い。
薄桃色の唇に欲望が出入りする様は、俺の中に愛情と興奮を同時に注ぎ込んでいく。
三度目だというのに呆気なく限界を迎えそうになり、俺は彼女に懇願した。

「ナマエ…っ、頼む。もう一度、あんたの中に、」

それを聞き届けた彼女は顔を上げ、誘い込むような笑顔で俺を見つめた。




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