絡み合う熱情[9]
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ベッドの上に、四肢を投げ出して横たわった彼女。
その上に覆い被さり、俺は張り詰めて脈打つ屹立を秘部に宛てがった。
濡れそぼった蜜壺は、難なく俺の二度目の侵入を受け入れる。

「…あ、あん…っ、ひぁっ、」

腰を奥まで押し進めては、少し引き。
律動を繰り返すと、彼女の唇からあえかな喘ぎ声が漏れた。
上体を倒して、彼女の顔の両脇に手をつく。
真下に見下ろした彼女の頬は紅潮し、刺激に耐えるようにその目を閉じていた。

「ナマエ…っ」

名を呼べば、薄い瞼が持ち上がる。
その下から現れた漆黒の双眸に、俺だけが映っていた。
それは、重畳の至りだった。

性欲も物欲も人並み以下だった己が唯一、心から欲した人。
己のものにしたいと。
彼女の唯一になりたいと。
そう望み、そしてついにこの手に抱くことが出来た。
俺の恋慕を受け止めてくれた彼女が、いま俺の背に縋り付き喘いでいる。
彼女の最も奥深い部分に入り込み、その身体を暴いている。
その事実に酔い痴れる。

「ひゃあ…っ、あ、あ、…は、じめ…っ」

嬌声の中に己の名が混じる度、心が震える。
撓る肢体を抱き寄せ、夢中で唇を吸った。

「はぁ…っ、ん、んぅ…っ」
「…ナマエ…っ………は、」

吐息が絡み、唾液が零れ落ちる。
打ち付ける腰の勢いが増し、下肢は淫靡な水音を立てた。
中から溢れ出てくる蜜で、彼女の太腿が濡れそぼる。
上体を起こし、彼女の括れた腰を掴んで引き寄せた。

「きゃあん…っ、は、ああ、んっ」

迸る悲鳴は俺の神経を悉く灼き切り、屹立を締め付けられて身体が痺れる。
固定した彼女の腰に欲望を打ち付け、絡み付いてくる襞を目一杯に擦った。

「あ、あ、だめ、はじめ…っ、ああっ」

彼女の嬌声が一層艶を増し、限界が近いことを訴える。
俺もまた、再び頂点まで昇り詰めようとしていた。
これが三度目でなければ、とっくに吐き出していただろう。
彼女の身体には、俺を悦ばせる術がふんだんに盛り込まれていた。
獣のように腰を振ると、泡立った淫液が接合部から溢れ出す。

「や、っあ、だめ、イっちゃ…あ、あっ」
「俺も…っ、もう、」

再び上体を倒し、彼女の身体を掻き抱いた。
すぐさま、俺の背に彼女が縋り付く。
その感触に、眩暈がした。
俺は、彼女の唯一になったのだ、と。
その手が教えてくれる。

「は、じめ…っ、イくっ、い、あああ!」
「ナマエ…!……く、ぅ……っ」

最奥を激しく穿ち、先に彼女が絶頂を迎えた。
その刹那、中がこれ以上ないほどに収縮し、俺の欲望を締め上げる。
その刺激に耐え切れず、俺は彼女の中から屹立を引き摺り出した。
三度目の欲望が、堰を切ったように飛び散った。

「…は、ぁ……ん、」

甘い余韻に浸るように、彼女が力の抜けた四肢を投げ出して淫蕩な表情を浮かべる。
俺は荒い呼吸のままその上に倒れ込み、薄く開いた唇に吸い付いた。
彼女の脇に寝転がり、きつく抱き締める。
互いにうっすらと汗ばんだ肌を重ね合わせ、何度も唇を啄んだ。

これまで俺は、行為が終わればすぐさま後始末をしてシャワーを浴び、全てを洗い流していた。
このように、終わった後にも同じ空間を共有して触れ合うなどしたことがなかった。
しかし今、少し蕩けたような目で俺を見つめる彼女を抱き締めるこの瞬間に、ひどく心地良い安寧を噛み締めている己がいる。
乱れた髪をゆっくりと梳いてやれば、彼女は気持ち良さそうに目を細めた。
その安心しきった姿に、愛おしさが募る。

「眠ってしまえ、」
「…うん、」

瞼を重そうに上下させる仕草や、こくりと頷く所作がどこか幼く見え、思わず口元が緩んだ。

「おやすみ、」

落ちかけた瞼の上に、そっと唇を寄せた。

このまま、彼女を抱き締めて眠ろう。
静かに寝入った彼女を見つめながら、シーツに流れる毛先を優しく弄ぶ。

「愛している…、」

そっと唇に乗せた音は、薄明かりの中にゆっくりと霧散した。





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