二人の夜に溶ける[6]「いい子。ちゃんと見ててね?」
掴んでいたはじめの手を離し、また脚の間に手を伸ばす。
先走りを絡めながら全体を包み込んで扱けば、はじめの唇から淫らな喘ぎ声が漏れて反響した。
「…ぁ、あっ、ナマエ…!」
いつもは低く穏やかな声が、甲高い悲鳴のように迸る。
掠れた音に、脳髄を刺激された。
そろそろ、楽にしてあげよう。
右手で根本から先端までを扱き上げ、左手でその下の膨らみをやんわりと揉む。
大きな水音がとはじめの喘ぎ声が、バスルームを満たした。
「…あ、あ、あぁ…っ、ナマエ!…もう、も…たぬ…っ」
はじめの声が、限界を訴える。
私は、一層激しくはじめを攻め立てた。
「…だ、めだ…も、出る…っ」
その、言葉通り。
次の瞬間、はじめの欲望が白く弾けた。
大きく吐き出されたそれは鏡まで飛び散り、そしてようやく収まった。
脱力したはじめは私に凭れかかり、肩で大きく息をする。
ぐったりとした身体を労わるように、私はその頬に唇を押し付けた。
やがてはじめが、ゆっくりと私を振り返る。
そこには恥ずかしげな、心底照れくさそうな笑みが浮かんでいた。
自然と唇が重なる。
はじめの唇は、いつもよりも熱かった。
「逆上せる前に、上がったら?」
「ああ、そうさせてもらう」
唇を離して立ち上がる。
シャワーを出して身体についた泡を流してから、はじめはバスルームを出て行った。
後に残された私は、ちらりと鏡に目を向ける。
そこには、はじめが去り際に残した台詞に顔を赤らめた私が立っていた。
「寝室で待っている故、覚悟して来い」
私はもしかしたら、何かまずいスイッチを入れてしまったのかもしれない。
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