二人の夜に溶ける[4]
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「…あ、っ」

はじめの唇から漏れた、小さな喘ぎ声。
思わず口角が上がった。


タオルから搾り取った泡を両手につけ、その手をはじめの胸板に這わす。
背後から抱きつくようにして胸元を弄れば、はじめの肩が大きく跳ねた。
鎖骨を、胸筋の間を、指でなぞる。
時折掠めるように胸元の飾りに指を当てれば、大袈裟なほどに身体が仰け反った。

先ほど洗って泡だらけになったはじめの背中に、胸の膨らみを押し付ける。
そしてはじめの胸元を弄る手は止めないまま、羞恥やら興奮やらで真っ赤になった耳朶に唇を寄せた。
はじめの両手が、快楽に耐えるかのように膝の上で握られている。
その拳が小刻みに震えているのが分かり、ついもっと追い詰めたくなった。

舌を出し、はじめの耳を優しく嬲る。
それと同時に、ぷくりと膨れた胸元の飾りを捏ね回す。

「…ぁ、あっ、ナマエ…っ」

漏れた声に顔を覗けば、そこには目をきつく閉じて唇を戦慄かせたはじめがいた。
必死で耐えようとする様が、酷く艶めかしい。
男の人でこの色気は反則だと思う。
私より色っぽいじゃないか。

「狡い、なあ…」

思わず、口に出していた。
そのせいで吐息が耳にかかったのだろう。
はじめがふるりと震えた。

「…な、にがだ…っ」
「ん、はじめはエッチだなあって」

くい、と爪を立てた。

「ひぅ…っ」

小さく上がった悲鳴に、劣情を煽られた。
優しく撫でて、きつく摘まんで。
繰り返せば、漏れる喘ぎ声がどんどんと大きくなっていく。
バスルームにいるせいで、声が反響する。
きっとはじめの耳にも、自分の声が届いているのだろう。
声を出したくないのか、唇を噛もうとしている。
私が、それを許すとでも思っているのだろうか。

「だーめ」

肩越しに覆い被さり、その唇を奪った。
歯列を割り、舌を絡ませ、唾液を混ぜる。

「…ふ、…っん、ぅ…」

されるがままになってきたのを確かめてから唇を離せば、とろりとした目にぶつかった。
理性が飛ぶのも時間の問題だろう。
ちらりと下に視線をやれば、はじめのソレはしっかり反応して天を仰いでいた。

だけどまだ、そこには触れてあげない。
しつこいくらいに胸を弄れば、いよいよ耐え切れなくなってきたのか、はじめが足をもじもじと動かし始めた。

なんて、卑猥な姿だろう。

会社では、真面目で冷静沈着な仕事人間。
その無表情を崩すことは滅多になく、決して隙を見せない男。
そんなはじめが。
いま、私の腕の中で身悶えている。
泡だらけになり、もっと触って欲しいとばかりに胸を反らせ、大きく膨らませたモノの先端から涙を零し、必死になって快楽を拾おうとしている。

それだけで、私のナカからは蜜が溢れた。



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