心の中をのぞいたら[1]
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ナマエ。話があるのだが、いいだろうか。

話?なんですか?

その、だな。万事、物事には釣り合いというものが重要だと、俺は思う。それで色々と自分なりに考えてみたのだが、ナマエと俺とではその釣り合いが取れていないと、思うのだ。

…えっと、ごめんなさい。どういう意味ですか?

つまるところ、だ。俺はナマエに相応しくないと、そう思うのだ。

…それで?

うむ。だから、俺はナマエと別れるべきではないか、という結論に達したのだが、どう思うだろうか。

な…っ、え、ちょ、斎藤さん?どう思うって…!

勿論ナマエの意見も大事だとは思うのだが、

待って下さい!なんですかそれ、私と別れたいって意味ですか?

別れたいのではない。別れるべきだと言っているのだ。

いや、同じことじゃないですか!どうしてそんな、

同じ?いや、同じではない。この二つには大きな違いがだな。

も、知りませんっ!


「斎藤さんの馬鹿っ!……って、いたたたたたた!」


突然、目の前にいたはずの斎藤さんが消えた。
その代わり、真っ白な天井があった。

「夢…?」

呆然と呟いて、慌てて身体を起こそうとして。

「いっ!」

再びの、激痛。
頭が割れそうに痛い。
この痛み方を、私は知っている。
これは二日酔いだ。

そうだ、昨日私は仕事の後に土方さんと飲みに行って。
斎藤さんがクライアントの女の人と二人で食事になんて行ったものだから苛々していて、自棄酒をして。
そして。

「そして…?」

辺りを見渡す。
自宅の寝室ではない。
が、知らないホテルでもない。
良かった。
いや、土方さんに限ってそんなことはあり得ないんだけれども。
ここは見覚えのある、斎藤さんの家の寝室だ。

そこまで、私の寝ぼけた頭が認識した時だった。

「ナマエっ、どうした?」

突然寝室のドアが開いて、夢の中と同じ斎藤さんが現れた。



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